『二月の勝者―絶対合格の教室―』第18講「三月の作戦」感想


『ビッグコミックスピリッツ』5月28日発売号に『二月の勝者―絶対合格の教室―』第18講「三月の作戦」が掲載されました。


黒木は今回、「〔首都圏模試の算数で〕偏差値40の成績を偏差値50に上げる」ために、佐倉にこう諭します。

帝都圏模試算数の問題は大問8問。

大問1が計算問題、一番正答率が高い基礎中の基礎問題です。問題が進むにつれ徐々に難易度が高くなっていく構成。

大問4まででだいたい全体の半分のボリュームです。

そのちょうど真ん中の「4」ここで、

模試の問題半分でおしまい。

後半の大問やる資格なし。

(中略)

算数の偏差値が30台の非常に残念な4名に限定で、

問題は半分量でも時間は同じ50分で一度解かせてみてください。

とにかく私の言うとおりにしてください。話はそれからです。


捨て問にすべきは……

難度の低い問題を確実に解くために「捨て問」を作るというのは、模試でも、(場合によっては)入試でも大切なことです。しかし、その捨て問の作り方において、「後半の大問やる資格なし」というのは合理的ではありません。

捨てるべきは「後半の大問」ではなく、「大問の後半」です。

先月行われた、第1回小6統一合判(4月の首都圏模試)の問題別正答率を確認してみましょう。


2018 第1回 小6首都圏模試 算数正答率

問題番号 領域名正答率
2(1)食塩水の濃度83.8
1(1)計算80.1
1(6)計算79.7
1(3)計算78.9
1(2)計算72.6
2(2)三角定規と角68.1
2(3)分数と規則性56.7
2(4)年齢算55.0
2(5)仕事算53.4
3(1)図形の規則性52.8
1(4)計算51.8
8(1)場合の数と数の性質48.7
1(5)計算44.0
4(1)通過算41.0
5(2)三角すいの求積34.3
2(6)円すいの表面積30.9
5(1)三角すいの求積25.1
6(3)集合算17.2
6(1)集合算16.2
3(2)図形の規則性15.9
5(3)三角すいの求積11.1
7(1)時計算9.0
6(2)集合算7.6
3(3)図形の規則性6.9
4(2)通過算4.9
4(3)通過算3.3
8(2)和場合の数と数の性質1.0
7(2)時計算0.6
8(2)数場合の数と数の性質0.3
7(3)時計算0.1

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※ 首都圏模試センター,「2018年度 統一合判 6年 第1回(4/15) 正答率」, https://www.syutoken-mosi.co.jp/data/siryou_pdf/2018-0-6-1-seitou.pdf ,2018年5月31日閲覧.


計算と一行問題、そして誘導問題で稼ぐ

大問3の(2)、(3)、大問4の(2)、(3)は正答率が低く、捨てるべき問題です。一方で、大問5の(1)や(2)は解ける問題かもしれません。8の(1)はきっと解けるでしょう。

もし大問4までで「おしまい」にしてしまったら、取れるかもしれない15点を確実に失います。

だから、偏差値が低い生徒が首都圏模試に臨むのであれば、

①□1番に全力投球。

(中略)

②□2番は、少し考えて、時間がかかりそうだったり、思いつかなかったらスルーしましょう。

(中略)

③□3番以降はとりあえず(1)にチャレンジ

※ akira,「日能研の歩き方」「公開模試対策(6年生)」, https://ameblo.jp/akira11552001/entry-12373668483.html https://web.archive.org/save/https://ameblo.jp/akira11552001/entry-12373668483.html ,2018年5月5日(同22日閲覧).

という作戦の方が、より合理的だと思われます。

大問の(1)は誘導問題に、あるいは、受験者間に差をつけるためのサービス問題になっていることが多いです。これを一瞥すらしないというのはもったいないです。


黒木の意図は?

黒木の作戦は、一見すると不可解です。彼の意図はいったいどのようなものなのでしょうか。

1.話の枕に過ぎない

黒木は今回の最後で「とにかく私の言うとおりにしてください。話はそれからです。」と言っています。

「模試の問題半分でおしまい」の結果を受けて、さらに話が続くのかもしれません。

2.サピックス講師として、上位の生徒に慣れすぎた?

黒木はサピックスのアルファ1の講師でした。講師は生徒によって作られます。彼はサピックスの生徒たちに最適化しすぎてしまい、首都圏模試を受けるような受験生への対応を誤っているのかもしれません。

……あまりありそうな話ではありませんが。

3.指示をシンプルにする

複雑な指示は、小6の子どもたちに混乱を引き起こす可能性があります。

「大問1は全問、大問2はできそうなものを。大問3以降は(1)を解いてきてね」

という指示は、やや複雑です。

そこで黒木は、シンプルに大問5以降を破り捨てることで、そうした混乱の可能性を排除しているのかもしれません。

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その他の感想

カリキュラムはないのか?

黒木は佐倉に「今日の授業一時間丸々使って、早速、過去問をやらせてください」と指示していますが、授業を過去問演習でつぶしてもカリキュラムは遅れないのでしょうか。また、保護者の方々からお叱りを受けたりはしないのでしょうか。

ガシャンガシャンと動くコピー機

……。

過去問対策が有効な場合は

過去問対策が有効だと感じるのは

理科>社会>>算数>国語

の順です。特に、範囲がある段階における理科の首都圏模試は、過去問で対策しさえすればかなり取れます。社会も過去問を解いておくとかなり違います。

さらに言えば、範囲のある試験で毎回しっかりと勉強することは、全体的な実力の向上につながります。中高生が定期試験を通じて入試レベルの力を身につけていくのと同じですね。

一方、算数は、過去問演習の効果が薄いように思われます。たとえば偏差値が伸び悩んでいる子に模試過去問で指導をしても、ただ散漫にさまざまなタイプの問題を紹介するだけになってしまい、ターゲットとする模試での得点力も、長期的な実力も、たいして身につかないように感じます。

勇太の計算

勇人くん(25/150点)の計算を見ると、たし算の筆算で繰り上がりの「1」を書いていることに好感を持てます。

一方、逆算の仕方はあまり感心できません。おそらく

1÷(□-2)=3

という問題なのですが、途中式でイコールを横に続けてしまっていることが気になりました。

1÷3

を見たときに、「割り切れないじゃんっ!?」とならずに、すぐに分数を使えるのはマルです。

特殊算の名前だけは知っている子

うわ…この問題ってナニ使うんだっけ?
つるかめ算? 植木算? 流水算? あーわかんない!

と悩んでいる子がいます。本当にいろいろと分かっていなさそうな迷い方だと思います。

22時以降の業務

22時以降に社員を働かせる場合には、割増賃金を支払う必要があります。

ところが、黒木は佐倉に、22時を回っているのにもかかわらず、過去問の採点を指示しています。

子どもたちが学校に行っている時間、塾講師は授業をできないのですから、その時間を使って採点をさせた方が人件費にやさしいでしょう。

※ 東京労働局,「しっかりマスター労働基準法 ―割増賃金編―」, https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0139/1618/2013327144331.pdf ,2018年5月31日閲覧.


これまでの感想

勇人編(中学受験に対する夫婦の温度差)

花恋編(フェニックス(サピックス)への転塾)


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