『ビッグコミックスピリッツ』7月1日発売号に掲載された『二月の勝者―絶対合格の教室―』第 52 講「九月の蒼白」の感想です。
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モラルハラスメント&教育虐待
島津くんの父親が悪役として描かれています。
世間体は良く、桜花の教室を訪れたときにはニコニコしています。しかし家庭内、妻に対してはモラルハラスメントを繰り返す夫であり、順くんに対しては「教育虐待」を行う父親です。
家庭人としてひどいものだと思いますが、きっと彼のような要素はわたしたちのなかにも潜んでいるのでしょう。
結果に対して不快感を表す
島津くんの父親は、息子の模擬試験の結果を見て妻を問い詰めます。結果によって他者への「当たりの強さ」が変わってしまうのは、未熟さの証でしょう。
しかし、過程のなかで「まあ、このくらいならいいか」と思っていた事柄について結果が良くないと、特にそれが自分の不利益につながるようなことだと、わたしも機嫌を悪くしているような気がします。
自分の苦しみと他者の無邪気さ
島津くんがお友だちと一緒に塾内で笑い転げているのを見て、父親は表情を硬くします。
父親も父親なりに思い悩んでおり、彼なりにがんばっているのでしょう。きっと苦しいのだと思います。自分が息子のために苦しんでいるのに、当の息子はまるで何も考えていないかのように笑っている……。自分の苦しみが報われないように思い、嘆いているのでしょう。
女性蔑視の描写はなしか
島津くんの父親は、桜花ゼミナールに順くんのお弁当を届け(るという名目で、塾や黒木の様子を見に来)た帰りに、ばったりと上杉くんの母親に会い、あいさつ程度の立ち話をします。
男性の悪役はよく女性を蔑視します。しかし島津くんの父親について、この場面では、そうした態度は見られなかったように思います。