『ビッグコミックスピリッツ』11月12日発売号に『二月の勝者―絶対合格の教室―』第33講「七月の先輩」が掲載されました。
今回は「高校受験」回です。
目次
7月に「合格おめでとう」掲示?
2ページ目の桂先生の背景に「合格おめでとう」掲示が出ていますが、桜花ゼミナールはいま夏期講習期間中のはずです。
この手の掲示には時期がずれている気もします。
柴田美佐子の年齢
柴田まるみさんの母親、柴田美佐子には「(39)」と年齢が付されています。人物名に都度年齢が付けられるのは、女性週刊誌を思い起させます。
高校受験を終えた姉がいるそうで、もし彼女が高校1年生(16歳)であれば、姉の誕生は美佐子が23歳のときとなります。学歴にもよるのでしょうが、比較的早い初産(?)年齢だと感じられます。
「お姉ちゃんの高校受験の時は」
美佐子は姉の高校受験を振り返ってこう言います。
お姉ちゃんの高校受験の時は苦労しました。
テストで9割以上、平均より25点多く取っても、評価が5点満点中4までしか取れなくて…社交的で部活も勉強も頑張るタイプの姉でもあんなでしたから…
中学校の観点別評価では、4観点で「A・A・A・Aマル」でも「4」となります。平均点が70点の定期試験で95点をとっても、問題別の得点状況によっては観点別評価が「A」になることがあるでしょう。
また、提出物や授業態度などでもしも「関心・意欲・態度」が「B」となってしまったら、(4観点の場合)他の観点ですべて「Aマル」を取らなければ「5」はつきません。
美佐子の悩みにはリアリティがあります。
【参考】
「不登校になったら」
美佐子は続けます。
内気で引っ込み思案なまるみなんて尚更…
それに中学でも不登校になったら内申どころか受けられる高校も限られる…
神奈川の高校受験の場合(『二月の勝者』のモデルは東京都)、不登校だと
- 私立高校の推薦入試への出願が難しくなる
- 一般に内申点が低くなり、公立高校受験の第一次選考(定員の90%までを選考)で勝負しづらくなる
- 私立高校の一般入試の併願確約をおさえることが難しくなる
- 私立の併願確約を取らずに公立高校を受験する場合、レベルの高い高校にチャレンジしづらくなる
といった点で不利になります。
特に私立高校受験が不利に
特に私立高校受験では推薦入試・一般入試併願で出願できる学校が限られてきます。偏差値が高い学校となるとなおさらです。
- 山手学院高校 併願基準内申点 2019
- 旭丘高校 推薦・一般入試 基準内申点 2018
- 白鵬女子高校 推薦・一般専願/併願優遇 基準内申点 2017(H29)
- 横浜学園 普通コース 推薦・一般入試(専願・併願) 基準内申点 2017
オープン入試は狭き門
学力のみで勝負する「オープン入試」なら受験できるところが多いように思われますが、募集が少ないです。また、募集定員まで合格を出すとも限らないので(学校によっては確約がどれだけ出されるかにも影響されるようです)、あまり薦められません。
たとえば、平成26年度入試における中央大学附属横浜高校のオープン入試では、523人が受験し481が不合格となりました(不合格率 92.0%)。
なお、公立高校受験の場合、出願できるかどうかという意味において「受けられる高校も限られる」ことはありません。
Twitter 1
本田由紀教授(東京大学)
この「中学でも不登校になったら内申どころか受けられる高校も限られる…」という部分を、今日取材に来られた記者の方も指摘されていた。中学で不登校になっても高校は一般の高校に通いたい子も多いはず。不登校なら通信制が受け皿、と暗黙に考えてはいけない。受験に中学の内申を要求する高校の問題。 https://t.co/q59QRGKFCz
— 本田由紀 (@hahaguma) 2018年11月13日
北村紗衣(さえ)准教授(武蔵大学)
https://researchmap.jp/saebou/
教員によるいじめにあったため中学に行ってませんでしたが、北海道は内申点の割合が低く、旭川の高校に入って東大に進学することができました。内申点重視は不登校児の教育機会を奪うものだと思います。 https://t.co/nPrmgF43Ia
— saebou (@Cristoforou) 2018年11月14日
実は私もこの内申だと無理だと言われていた高校を受けたんですが、普通に合格しました。他にも同年代でちゃんと学校に行ってないのに進学校に受かった人がいたという話を聞いて、思ったより重視されてないのだなと思った覚えがありますが、地域や時代によって違いそうですね。
— saebou (@Cristoforou) 2018年11月14日
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Twitter 2
「特に日本は,学力と社会経済的地位の関連のほぼすべてが,高校受験によ って学校間格差に変換されているという点で,明確な特徴をもった国であることが示された.これらの特徴は,日本では,学校選択が学力という 一元的な尺度によって規定される度合いが高いことを意味する.」
— 本田由紀 (@hahaguma) 2019年1月5日
親の時代とは大違い 高校受験「内申書」の真実 :日本経済新聞 http://t.co/dUc537vb
— 本田由紀 (@hahaguma) 2013年2月19日