志願変更前の倍率 2023

神奈川大学給費生試験 解答速報・解説 2023 国語 古文全問題

神奈川大-給費生 2023 国語(古文)解答速報

2022 年 12 月 18 日()に実施された神奈川大学給費生試験 2023「国語」大問1 古文のすべての問題に係る解答速報解説です。

賀茂真淵『歌意考』からの出題。真淵は『万葉集』の「ますらをぶり」を高く評価した人物です。

文中で頻出の「はた」は

  • ①また。
  • ②そうはいうものの。やはり。
  • ③けっして~(打消)。いうまでもなく~(打消)。

という意味の副詞。


問一

解答

③ 壬生忠岑

解説

『万葉集』に歌が収められていない人物を選ぶ問題。

③ 壬生忠岑だけが『古今和歌集』の代表的歌人です。他の選択肢に挙がっている3人が有名なので、消去法で解けると思われます。

① 大伴旅人は大伴家持の父で、晩年に筑紫で山上憶良らと親交。家持は『万葉集』の中心的編者。

② 柿本人麻呂・④ 山部赤人は「歌聖(うたのひじり)」と呼ばれた2人。

広告





問二

解答

④ ラ行変格活用動詞+推定の助動詞+逆接の助詞

解説

「二十巻あめれど、」の「あめれど」の文法的説明を求める問題。

「二十巻あり」に、視覚に基づく推定の助動詞「めり」がついて、まず「二十巻あるめり」。

推量・推定の助動詞は終止形接続をすることが多いですが、終止形がウ段音でないラ変型に対しては連体形(ウ段音)接続をします(いわゆる「ラ変体」)。「めり」もふつうは終止形接続ですが、「あり」がラ変なので「ある/めり」となります。

次に「ある/めり」の「る」が撥音便で「あん/めり」に。

そして撥音便の無音化で「あ/めり」。

「あ/めり」に接続助詞「ど」がついて、「あ/めれ/ど」。已然形+「ど・ども」は逆確です(逆接の確定条件)。

広告




問三

解答

② 多き

解説

神奈川大学給費生試験 解答速報 2023 国語 古文 空所補充
https://kanagaku.com/archives/61953


問四

解答

① a 国ぶり

解説

  • 「はた〔やはり〕みやこ〔都〕の人なり」「みやびごとしるく」が「宮ぶり」に、
  • 「東歌」「もとよりも歌は〔中略〕をす国人の心を知らするものなれば、なぞや② b 大宮ぶりのみをいはむ〔反語〕」が「国ぶり」に、

それぞれ対応していると思われます。

『古今和歌集』を高く評価する人たちは『万葉集』を「③ c 万葉ぶり」として批判しますが、それは『万葉集』をよく知らずに(「よく心得ずて、二十巻ともに皆同じと思ひ、」)批判しているだけです。

④ d 女ぶりは、「されど」以下、後半部分に関するものです。

参考

「国ぶり」の歌から「宮ぶり」の歌へ―『万葉考』にみる注釈の一方法

※河野頼人。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784870885332




問五

解答

① やはり第一、二巻のような作者の判明している歌だけを撰集するはずはないと思われる。

解説

「よみ人知らえしのみを撰むべくもあらず」の解釈が解答の中心。

「知ら/え/し」が「ラ四未/受身(=れ)・用/過去・体」で、「知られなかった〔歌〕」。作者が知られなかった歌だけを選ぶはずがない――と書かれているようです。

②は「判明していない」が誤り(そこには打消がない)。③、④は「作者が知っている/知らないことだけを歌にする」で「撰む」が反映されていません。

参考

歌意考
https://neige7.pro.tok2.com/karon_kaiko.html

  • https://web.archive.org/web/20221218161134/https://neige7.pro.tok2.com/karon_kaiko.html
  • https://megalodon.jp/2022-1219-0111-29/https://neige7.pro.tok2.com:443/karon_kaiko.html

※信頼できる記載だと思われます。


問六

解答

④ 昔の宮廷風という性格がはっきりしていてそのうえ長歌が多いので

解説

形容詞「しるし」は「はっきりしている。一目でわかる。明らかだ」の意味。これで①、②の選択肢「曖昧で(ある)」が誤りだと分かります。

「多けれ/ば」は「已然形+ば」なので順確(順接の確定条件)。③の「多かったならば」は順仮(順接の仮定条件)の訳だと考えられるので誤り。


問七

解答

④ 為政者

解説

「いとやむごとなきあたり」の指す内容を答えさせる問題。

「いと/やむごとなき/あたり」で、「たいそう高貴な人」。

① 唐の国、② 辺境の地は、どちらも「心をも知らする」ことができないので(人ではないので)誤り。なお、「あたり」には「付近。近所」の意味(「辺りを払ふ」)や、「家。居所」の意味もあります。

③ 古代の人々は、「やむごとなし」の意味を反映していないので誤り。


問八

解答

① 銀〔しろかね〕も金〔くがね〕も玉もなにせむに優れる宝子に及かめやも

解説

「瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば……」への反歌。山上憶良には他に「憶良らは今は罷らむ子泣くらむ……」といった有名な歌があり、たとえ「銀も……」の歌自体を知らなくても、何となく解けるのではないでしょうか。

  • ② 田子の浦ゆ……は山部赤人(「田子の浦に……」という百人一首の歌の原歌にあたる)。
  • ③ 熟田津に……は額田王(斉明天皇の新羅遠征に際して詠んだ歌)。
  • ④ 紫草のひほへる……は大海人皇子(後の天武天皇。「人妻」というのは、額田王が兄の天智天皇に仕えていたことを指す。皇子が彼女の「あかねさす……」という歌に返した歌)

問九

解答

③ 全体が十分に精選された優れた歌のみで構成されているわけではないから

解説

『万葉集』には

  • 「たはれ〔戯れ〕たる」歌
  • 「よく本末の整ほらぬ」歌
  • 「本は宜しくて末の言葉のわろき」歌

を含む「さまざま」な歌が集録されています。「しかれば〔そうであるので。だから〕」「更に撰びて取るべし」と、真淵は主張します。


問十

解答

③ 表現の工夫が巧みに凝らされている

解説

  • ① 歌に詠まれた題材の範囲が広い――「こと広く」に対応
  • ② 歌われた心情が風雅で豊かである――「心みやびかに豊けくして」に対応
  • ④ 調子がなだらかで余情が感じられる――「なだらかににほひやかなれ」に対応

参考

『古今和歌集』の成立が延喜5年(醍醐天皇の勅命によって撰進された最初の勅撰和歌集。「延喜・天暦の治」の延喜)。

『古今和歌集』に収められた歌の時代は約 150 年にわたり、歌風が

  • 第1期「よみ人知らずの時代」
  • 第2期「六歌仙の時代」
  • 第3期「撰者の時代」(延喜はここに含まれる)

の3つに分けられます。


問十一

解答

④ たをやめ

解説

「ますらをぶり」と「たをやめぶり」とが対になります。「ますらを」は「立派で強い男」を、「たをやめ」は「立派で優しい女性」を、それぞれ表します。

真淵は「ますらを」の心を「高く直き心」とし、「高く直き大和魂」「雄々しき真心」とも表現します。


問十二

解答

③ 歌に現れた心情に煩わしさが感じられるのです

解説

形容詞「むつかし」を問う問題。

『Key & Point 古文単語』109 ページによれば、「むつかし」は――

「むずかしい」ことではありません。古語「むつかし」は、現代語「むずかる」の古い形「むつかる」と同源の語で、不快感を表し、その原因としてのうっとうしいさま・わずらわしいさまを表します。


問十三

解答

② 古今集よりも前に万葉集を学ぶのが道理であるのに、人々がそのことを怠っているから。

解説

①「人々がそのこと〔万葉集という歌集が存在していたということ〕を知らないから」が誤り。『万葉集』の存在を知ってはいました。

③「人々が〔中略〕古今集の本質を理解しようとしないから」『古今集』にあるような歌を詠めないというのではありません。詠めない理由は、人々が歌を「まねぶ」順番を間違えているからです。

④ 真淵は、人々が『古今集』(『古今和歌集』)ばかりに価値を置き、そこからばかり学ぼうとしていることを批判しています。したがって、「人々が万葉集ばかりに価値を置き」も、「古今集から〔中略〕学ぼうとしない」も誤り。


問十四

解答

① その上に登る梯子さえ手に入れれば

解説

副助詞「だに」(「すら」「さへ」)の問題。「だに」の現代語訳は「さえ」(、「すら」の現代語訳も「さえ」ですが、「さへ」の現代語訳は「~まで(も)」。

「だに」には最小限の願望「せめて~だけでも」の意味もあります。

② までも――古文単語「さへ」との混同を狙った、誤りの選択肢。

③ だけを――「だに」の現代語訳「せめて~だけでも」との混同を狙った、誤りの選択肢。

④ しか――「だに」の現代語訳「せめて~だけでも」との混同を狙った(?)、誤りの選択肢。


問十五

解答

① 上より下す

解説

「上」が『万葉集』に、「下」「末」が『古今和歌集』に、それぞれあたります。

真淵は、まず『万葉集』に学び、それから『古今和歌集』に学ぶべきだと主張しています。

参考

神奈川大学給費生試験 解答速報 2023 国語 古文 空所補充
https://kanagaku.com/archives/61953


問十六

解答

④ 本居宣長

解説

真淵から宣長へ

国学の系譜は、

契沖→賀茂真淵→本居宣長→平田篤胤

というもの。特に真淵は宣長に「直接的な影響」を与えました。

「67 歳のとき,伊勢参宮の帰途,松坂で本居宣長の訪問をうけ,真淵は『古事記』の注釈を渡してその業を託した」といいます(『倫理資料集』231 ページ)。そのとき宣長は 34 歳。宣長の主著『古事記伝』起稿がその 34 歳のときで、完成が 69 歳のときでした。

国学の系譜

国学の系譜に関し、『新国語便覧』65 ページの記載は以下の通り。

和歌革新の動きが出たころ、下河辺長流〔しもこうべちょうりゅう〕・契沖が『万葉集』などの古典研究の糸口を開いた。その影響を受けた荷田春満〔かだのあずままろ〕は、古典研究を通して儒教・仏教伝来以前の古代日本の精神を明らかにしようと考え、これが国学となる。近世後期、賀茂真淵の『万葉考』を経て、本居宣長の『古事記伝』『源氏物語玉の小櫛』に至り、国学は大成された。

平田篤胤は復古神道。その国粋主義的主張が幕末の尊王攘夷運動に大きな影響を与えました。

宣長と篤胤とでは、死後の霊魂のゆくえが異なります。宣長が黄泉国、篤胤が幽冥界。


問十七

解答

② 歌の手本としては、万葉集の歌のうち、声調が滞らず、意味内容が明確で、優雅な心や言葉を含んだものがよい。

解説

①「二十」は『万葉集』の全巻数。真淵が古い歌を収めていると考えたのは古い順に「1,2,13,11,12,14」の6巻。

③「古今集の中で『よみ人知らず』とされている歌」は、「奈良人より今の京の始までの」歌です(問十「参考」を参照)。

④ 本文に「物は末より上を見れば、雲霞隔たりて明らかならず」とあります。真淵が勧めるのは「高山より世間を見渡」すように上から下を見下ろすことです。


解答・解説に係る訂正履歴

2022 年 12 月 19 日(月)現在、解答・解説に係る訂正履歴はありません。


参考文献

  • 小松英雄 編集,『三省堂 古語辞典』第 41 刷,1990 年3月 30 日発行(修訂版 1974 年1月1日発行).
  • 文英堂,『シグマベスト 原色シグマ新国語便覧 増補三訂版』,2015 年発行.
  • いいずな書店,『わかる・読める・解ける Key & Point 古文単語 330 三訂版』第1刷,2017 年9月 20 日発行.
  • 数研出版,『豊富な資料と詳しい解説 倫理資料集 改訂版』第9刷(改訂版第1刷 平成9年2月1日発行).
  • 全国歴史教育研究協議会 編集,山川出版社,『日本史用語集 改訂版 A・B共用』第1版 第1刷,2018 年 12 月 15 日発行.

※解答速報に誤りがあれば、それはカナガクの誤りです。