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神奈川大学給費生試験 解答速報 2023 国語 現代文全問題

2022 年 12 月 18 日()に実施された神奈川大学給費生試験 2023「国語」大問2 現代文のすべての問題に係る解答速報解説です。

出題は、松村圭一郎『くらしのアナキズム』196 ページ「都会の朝の通勤電車では」から、204 ページ「本書も共有している」まで。

空所補充(問2,5,7,9)の解答は Kindle 版(電子書籍)でも確認可能です。




問一

解答

(a) 所詮

④ 事情を詮索する

(b) 変幻自在

② 理想と異なって幻滅する

(c) 折衝

④ 衝撃的な事件

(d) 脅威

① 威圧的な態度

(e) 共謀

③ 陰謀論が広まる

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問二

解答

③ たとえ

① でも

④ そもそも

② すると

参考

神奈川大学給費生試験 解答速報 2023 国語 現代文 空所補充
https://kanagaku.com/archives/61942

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問三

解答

① エチオピアでの対人コミュニケーションの慣習や文化になじんで生活していたが、日本で生活するうちに、いつの間にか日本での対人関係のあり方に戻ってしまっていることに気づいたということ。

解説

正答

「日本で生活するうちに」が「こうやって~慣れると」に対応。

「日本での対人関係のあり方」が「黙って携帯を~睨み返されるだけ」に対応。

「いつのまにか~戻ってしまっていることに気づいた」が「自分がいる」に対応。

誤答

②「強い違和感を感じている」が適しません。筆者は「目のまえの人のことを無視するのに慣れる」ことができています。「街で知人とすれ違っても~やりすごしている自分がいる」も「強い違和感」とは合わないでしょう。

③「日本での生活に戻った瞬間に」が適しません。「こうやって~慣れると」とある通り、日本での生活に「慣れる」時間は必要でした。

③「日本での対人関係の良さに気づいて」にあたる記述がありません。


問四

解答

② エチオピアの日常生活の文化では、一緒にいる人とは会話をして楽しむことが要求されるが、その際に個々人の本音が語られるべきという考え方が前提になっているわけではないということ。

解説

正答

「一緒にいる人とは会話を~要求される」が「対面的な状況ではコミュニケーションをとることが求められる」に対応。

「楽しむ」は 10 ページに「差異を楽しみとして包摂しながら人と言葉を交わす」とあります。タチャウトに付された注「『楽しんで』という呼びかけの合意もあるとされる」からも読み取れるかもしれません。

「わけではない」と「かならずしも矛盾しない」とが、部分否定で対応。

誤答

①「信頼して話をしてはならないという規則がある」が不適。そういった規則があるとは書かれていません(おそらくそういった規則はないはずです)。

③「あくまで表面上の関係であるため相手を警戒する」が不適。筆者は「たとえ仲のいい友人でも」、その言葉を「話半分」くらいに受けとめる(つまり、話を真に受けることを最初から「保留」する)ことが多いといいます。信頼感のなさの背景にあるのは「人間なんて所詮そんなもんだよな、といった感覚」です。信頼感のなさは「警戒」とも異なるでしょう。

④「相手の発言の内容を疑うことも会話を楽しむための手段」に相当する記述はなさそうです。


問五

解答

④ 不完全な

参考

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問六

解答

② 人々が共有するものごとの捉え方

解説

①「物語制作の発想」が不適。『やし酒飲み』の物語は、その西洋とは対照的な世界認識に関してニャムンジョが注目したという文脈で出てきています。

③「人々がお互いを気遣い思いやる心」はそれについての「議論のスケールが壮大」とはなりづらいでしょう。また、「民衆的想像力」の対象は、必ずしも「人々お互い」に限定されないようです。「目にみえないこと」「超自然的な存在」「構造」なども、「民衆的想像力」の対象のようです。

④「民衆的想像力」は認識一般について言われているように思われます。「人々がお互いのことを認識する力」というのが④の選択肢ですが、必ずしも「人が人を」認識する場面に限定された想像力ではないでしょう。


問七

解答

② 二元論

参考

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問八

解答

③ 人間は常に別の在り方へと変化する可能性を持ち、人間どうしの交流は、新しい存在へとお互いを変化させるように働きかけあっていると捉え理解している。

解説

正答

設問に「向上している」とあるため、最も「向上」とは遠いように見える選択肢③を選ぶのには勇気が要ります。

誤答

①「人間は不安定な現状から脱する可能性を持っており」「人間どうしの交流は~完全で安定した存在へとお互いを変化させる」が不適。こうした考え方は「西洋近代」側のものです。

②「完全な存在へ変化することを目指して」が不適。やはりこれも、「西洋近代」側の考え方です。

④「〔人間は〕向上心をもってお互いを高め合う関係性を構築できる」が誤り。「不完全な存在〔=人間〕どうしが交わり、相互に依存しあい、折衝・交渉する」のは「向上心をもって」のことではありません。ここでの論理は「不完全な状態を問題だと思わなくなる鍵」となります。


問九

解答

④ ふつうにエチオピアで出会う人の姿とも重なっている

参考

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問十

解答

① コンヴィヴィアリティには、「饗宴」のように客人をもてなすような主体的な立場を意味すると同時に、「相互依存」のように遠慮なく依存し合うような関係性を示す意味もあるため、他者に依存するだけの単純な生活を送ることができないという点で、一義的ではないということ。

解説

正答

イリイチはコンヴィヴィアリティの意味を

  • 人々が他者や環境とのあいだで「自立的で創造的な交わり」をもつことであり、
  • そこに「人間的な相互依存のうちに実現された個的自由」という倫理的価値が生まれる

と説明します。

設問の「葛藤〔をはらむ〕」は「一義的ではない」に相当します。

誤答

②,③「包摂」は「ある概念が,より一般的な概念に含まれること」です(『国語辞典』707 ページ)。「他者を包み込んで支配する」は不適切。また、「他者を自分よりも下位の存在にしたいという欲求がひそんでいる」も不適。「自分とは異なる存在〔=他者〕は、脅威ではなく、むしろ魅力的なものとして積極的に受け入れられ」ます。

④「相手への信頼関係と援助を強く求める」のは「依存」かもしれませんが「相互依存」ではありません。また、「バランスを欠く」ことと「葛藤」とは異なるはずです。


問十一

解答

③ 美しさの判断基準は文化や人ごとに違っていて当然であると信じること

解説

「その妄想」とは、「西洋近代のように完全であろうとする野心や欲求」によって肥大化させられた妄想。

④「文化というものは多文化の影響を受けず純粋であり続けるべきだ」は、異質なものに「改宗」を迫る「西洋近代」の姿勢。


問十二

解答

③ 異なる文化や風習を持つ人々に対して、考え方、価値などの変更を強く要求すること。

解説

「迫る」の意味は「強く要求する」(『国語辞典』421 ページ)。

  • ①「丁寧に説明する」
  • ④「説得する」

がそれぞれ不適。

「改宗」の意味は「他の宗派(宗教)にかえること」です(『国語辞典』111 ページ)。

②「信仰心を奪うこと」は「『改宗』を迫る」こととは異なります。


問十三

解答

② 多数決民主主義は、問題に対して人々が割り切れない考え方を持つことを無視し、個々の意見に変更がないかのように判断して物事を進めるように運用されているから。

解説

正答

「人々が割り切れない考え方を持つ」が「人の意見を聞いて『それもありかも』と~揺れ動いたりする」に相当。

「個々の意見に変更がない」が「人間が一貫した意見をもつ」に相当。

誤答

①「人々の意見が変化することを前提とし」が不適。多数決民主主義には「人間が一貫した意見をもつという前提」があります。

③「〔多数決民主主義は〕人々が問題を十分に理解していないことも重視して運用されている」が不適。多数決民主主義の運用に無理がある理由は、人間には「そもそも『よくわからない』問題のほうが多い」にもかかわらず、同じ人間が「問題」を十分に理解している前提で運用されているからです。

④「より正しい意見を人々が見出せるような社会を目指して」が不適。「一時的で仮の『意見』を固定化し、多数派の意見だけをもとに物事を進める」のが多数決民主主義です。


問十四

解答

④ 人々の交流によって、複合的で流動的なアイデンティティを保ち続けることと捉え理解している。

解説

正答

「複合的で流動的なアイデンティティを保ち続ける」が「複合的で変化しつづけるアイデンティティ」に対応。

誤答

①「確固たる個々のアイデンティティを持つ」が不適。

②「改良」と「革新」とは異なります。

③「完全なる自己を求めて」が不適。


問十五

解答

① タチャウトには、仕方なく会話に加わった場合でも、対面した人とその場で簡単なものごとの遣り取りを行うような人間関係になり、やがて民族や国家などに基づく互いの違いについての違和感が薄れて、人どうしの新しい結びつきが生まれるチャンスが潜んでいるということ。

解説

正答

「仕方なく」が「正直、うんざりなのだが」に相当。

「簡単なものごとの遣り取り」が「『飯を一緒に食おう』になるのか、『プレゼントを~」といった「いろいろ」の部分に相当。

「やがて~違和感が薄れて」が「だんだん目の前にいるエチオピアの若者の顔が~境界が揺らぎはじめる」に相当。

誤答

②「明確な生き方の違いを確認し合うことができる」が不適。境界が「揺らぎはじめる」のでなくてはいけません。

③「国際交流が生じる契機がある」ことと「コンヴィヴィアリティが~ある」こととは異なります。「コンヴィヴィアリティが~ある」ことは「日本の『むら』で実践されてきた対話を支えるコミュニケーションにも通じる」ものです。

④「容姿」が不適。容姿・外見は主題ではありません。「自分と同じ価値観を持っていることが察知できる瞬間がある」も不適。自他の価値観が同一であると察知されるからではなく、差異を楽しみとして包摂するなかで差異の境目がわからなくなるからこそ、コンヴィヴィアリティがアナキズムを可能にする技法に通じます。


問十六

解答

④ 人々が産業に従属し生産性を高める労働に従事していることを批判し、自然と向かい合い互いに協力して助け合うことができない状況には人間の自由や自治がないことを見抜いているから。

解説

正答

「自然と向かい合い互いに協力して助け合うこと」が「生活のなかにあったはずの政治と経済」にあたります。

誤答

① アナーキズムは(ここで少なくとも直接的には)平等/不平等の問題ではありません。

② ここで問題とされているのは消費社会それ自体ではありません。それによって「自立共生の機会」が奪われることや、「自由や自治が失われる」ことこそが問題とされています。

③ アナーキズムは(ここで少なくとも直接的には)「消費や生産」の自由/不自由の問題ではありません。


問十七

解答

③ 自治や自由と引き換えに、「専門的エリート」の社会進出を人々が容認してしまうということ。

解説

「許容」は「許して認めること」(『国語辞典』191 ページ)。

①「権限を獲得する」ことは「許容」することではありません(この選択肢の一文は、誰が「権限を獲得する」のかについて曖昧であるように感じられます)。

②「反権力の社会的な浸透を推進する」ことは「許容」することではありません。

④「社会の未来を設計するように要求する」ことは「許容」することではありません。


問十八

解答

① 日本で人々が互いに無関心であるのは、社会的な次元でタチャウトのような精神を忘れてしまったからである。

③ ニャムンジョが考えるコンヴィヴィアリティとは、遣り取りを通じて自分とは異質な存在を受け入れることである。

解説

②「超自然的な存在を目指すべきだと主張」が問題文の内容に合致しません。問題文では「超自然的な存在と生きている人間との垣根」がないと書かれているに過ぎません。

④「最も多くの人々の賛同する意見が導き出される」のは多数決民主主義においてでした。

⑤「一貫した人間の意見があることを前提として成り立つ」のは多数決民主主義でした。

⑥ コンヴィヴィアリティは「生産性を基軸とする産業主義の対極」にあるものです。大量生産・大量消費の社会と「融和」するものではありません。

⑦「政治制度」は「生産高という目標との共謀関係に人々をおしこめる徴募機構となっている」ものです。原因となる仕組みとして「政治制度」があり、結果としてのふるまいとして「産業主義優先」があります。「産業主義を最優先した政治制度を確立させること」は、「政治行政を担う者たち」の目的ではありません。また、イリイチは「人々〔引用文中は「人々」表記〕」が統治・管理の拡大を許容することを問題視しています。根本は「政治行政を担う者たち」だけの問題ではありません。「人びと〔地の文では「人びと」表記〕」がその無力感から、自立共生、自由や自治をどんどん手放していっていることに、筆者は問題を感じています。


参考文献

佐竹秀雄 編集,三省堂,『デイリーコンサイス国語辞典 第2版』,1996 年 10 月1日 第7刷発行(1995 年4月1日 第2版発行).