横浜市教育委員会は「令和3年8月4日定例会」で、
- 横浜市立中学校
- 横浜市立義務教育学校後期課程
- 横浜市立南高等学校附属中学校
- 横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校
において令和4年度から6年度まで使用する歴史教科書に帝国書院『社会科 中学生の歴史 日本の歩みと世界の動き』を採択しました。使用期間は 2022(令和4)年度から 2024(令和6)年度まで。
目次
2021 年 中学校歴史教科書再採択に至る経緯
横浜市立中学校の教科書については 2020(令和2)年8月すでに採択が行われていたのですが、文部科学省が 2021 年3月に
自由社の「新しい歴史教科書」について……再申請により……検定を経て新たに発行されることとなったことから……採択替えを行うことも可能である
と通知。 5月、横浜市教育委員会は「公正に手続きを行うことを重視し」市立中学校の歴史教科書を改めて採択することにしました。
横浜市立中学校の歴史教科書、異例の2年連続採択へ採択当日の様子
採択の様子は昨年同様、 YouTube ライブで中継されました。
横浜市中学校歴史教科書採択 2021、8月4日 YouTube で教科書取扱審議会の答申
市立中学校の歴史教科書の採択に関してはまず「昨年採択された帝国書院の教科書を引き続き使うのがよい」とする横浜市教科書取扱審議会の答申が紹介されました。
横浜市教科書取扱審議会とは、
- 教科書調査員(※)から調査報告を受けたり
- 学校から意見報告を受けたり
する機関です。教育委員会が任命したみなさんによって構成されます。
※教科書調査員は、教科書取扱審議会の推薦に基づき、教育委員会が学校の先生方のなかから任命します。
「投票権」をもつ6名のうち5名が意見を述べて採決
答申の紹介のあと、5名の教育委員の方々がそれぞれ意見を述べました。
まず木村昌彦委員(横浜国立大学教授 体育学)が答申の内容を支持。次いで大塚ちあり委員(元横浜市教育委員会人権教育・児童生徒課主任指導主事、元横浜市立学校長)も帝国書院を支持。大塚委員は今年度新しく委員となった方です。森祐美子委員(保護者委員)も帝国書院支持で続きます。
大塚委員とともに今年度から新しく委員となった中上直委員が続いて発言。中上委員も帝国書院の教科書についてのみ触れました。
最後に四王天正邦委員が帝国書院を支持し、採決へ。「答申通り」帝国書院の歴史教科書を使い続けることに異議なしということで決着しました。
新しい委員の行動と、鯉渕教育長の沈黙
昨年の採択時と比べると、
- 教育長職務代理委員が元横浜市副市長の大場茂美委員(男性です)から中上委員に
- 元市立学校長の委員が中村幸子委員から大塚委員に
それぞれ変わったのですが、採択結果は変わりませんでした。
昨年の投票結果は
- 帝国書院:4票
- 育鵬社:2票
というもの。もし2社の教科書が同数の得票となれば、鯉渕教育長が「2票目」を投じるだろうなかでの帝国書院採択でした。
「投票権」を持つ6名のうちただひとり一連の議論・意見表明に加わらなかった鯉渕教育長が、今回何を考えていらしたかはあまり分かりませんでした。
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- 横浜市立中学校の歴史教科書、異例の2年連続採択へ
https://kanagaku.com/archives/46929 - 横浜市中学校歴史教科書採択 2021、8月4日 YouTube で
https://kanagaku.com/archives/48800
神奈川新聞による報道
神奈川新聞社カナロコ,「横浜市立中の歴史教科書 市教委、「つくる会」系を不採択」,https://www.kanaloco.jp/news/government/article-615398.html,2021 年8月4日.
https://megalodon.jp/2021-0804-2254-12/https://www.kanaloco.jp:443/news/government/article-615398.html
「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ自由社版を不採択とした
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横浜市教育委員会、歴史教科書の再採択始まりました。今日はネット中継されてますので、ぜひご覧ください。#横浜市教育委員会#歴史教科書再採択#林市長落選運動 https://t.co/bCx5gSUIYC
— きむちゃん☆一人でもできる林市長落選運動 (@kimchan0213) August 4, 2021
横浜市 教科書採択
今日8/4(水)午後2時〜教育委員会で異例の歴史教科書採択やり直し。
長年「新しい歴史教科書をつくる会」系を採用していた横浜市が今春ようやく脱したのに、たった1年でまた育鵬社や自由社を含めて採択し直し。
傍聴ハズレたのでネットで。中継↓https://t.co/1L0EleNolq
— 井上さくら(横浜市議・無所属) (@sakuraline) August 4, 2021
横浜市 教科書採択
異例の採択やり直しとなった歴史教科書は、昨年採択された帝国書院の継続使用が決まりました。
内容に加えて2年連続で教科書を変更するのは教育現場への負担が大き過ぎること等を理由に教科書審議会が昨年と同じ教科書をと答申し、全会一致でこれが認められました。
良かった! https://t.co/a0iVZ15BDv— 井上さくら(横浜市議・無所属) (@sakuraline) August 4, 2021
【2021横浜教科書採択】中学校歴史は、昨年度採択の帝国書院版の継続使用を決定。
— 成田洋樹 (@narita_hiroki) August 4, 2021
【2021横浜教科書採択】審議会が市教委に「昨年度とは別の教科書を採択した場合、授業計画や教材研究に影響。3学年で異なる教科書を使うことになり、教員の負担が重くなる。昨年度採択した教科書と同一が望ましい」と答申。これを踏まえ、教育委員6人の全会一致で帝国書院版の継続使用を決定。
— 成田洋樹 (@narita_hiroki) August 4, 2021
【参考】令和4年度の市立中学校数・生徒数について
- 中学校数:148 校(義務教育学校後期課程3校を含む)
- 生徒数 :約7万4千人(令和2年度義務教育人口推計より。3学年合計。)
※社会科歴史的分野の教科書は、新1年生に無償給与されたものを3年間使用する。そのため、新2・3年生は今年度の採択結果に関わらず、1年生時の教科書を引き続き使用する。
参考文献
- 横浜市教育委員会,「市立中学校で使用する『社会科歴史的分野』の教科書の採択について」,https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kyoiku/2021/210804kyokasyo.html,2021(令和3)年8月4日.
https://web.archive.org/web/20210804125336/https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kyoiku/2021/210804kyokasyo.html
- 横浜市教育委員会,「【記者発表】市立中学校で使用する『社会科歴史的分野』の教科書の採択について(PDF:548KB)」,https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kyoiku/2021/210804kyokasyo.files/0001_20210804.pdf,2021(令和3)年8月4日.
https://web.archive.org/web/20210804123641/https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/kyoiku/2021/210804kyokasyo.files/0001_20210804.pdf
- 文部科学省,「令和4年度使用教科書の採択事務処理について(通知)(令和3年3月30日)」,https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/saitaku/1384051.htm,2021 年3月 30 日.
https://web.archive.org/web/20210802172824/https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/saitaku/1384051.htm