『ビッグコミックスピリッツ』3月 18 日発売号に『二月の勝者―絶対合格の教室―』第 43 講「八月の相談」が掲載されました。
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目次
上杉くんが解いていた数列の問題
今回もっとも印象に残ったのが、島津くんが上杉くんに教えていた算数の問題です。
まず、島津くんが「まどろっこしいことしてんなあ」と言った上杉くんのノートから見てみましょう。
問題はおそらく、
ある決まりにしたがって数字がならんでいます。100 番目の数までの和を求めなさい。
1, 3, 3, 3, 5, 5, 5, 5, 5, 7, …
というものでしょう。
奇数の平方数の和
上杉くんのノートに 1, 9, 25, 49 といった数字が見られるように、これは奇数の平方数の和を求める問題となります。
島津くんは上杉くんにこうアドバイスします。
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島津くんが言いたいこと
島津くんが言いたいことは、おそらく以下のようなことです。
この問題の答えは……
以上より、この数列の 100 番目の数は 19 です。1×1から 19 × 19 までを足し合わせればいいことがわかりましたので、あとは力技でゴリ押します。
20 × 20 = 400
までの平方数であれば暗記していると思いますので、それほど手間はかかりません。
1 + 9 + 25 + … + 361 = 1330
となり、1330 が答えです。
「前受け」
1月受験いわゆる「前受け」
という黒木のセリフが出てきます。
これまで「1月受験」「1月入試」「試し受験」……といった言い方をしてきたので、「前受け」という言い方は新鮮でした。塾によっても言い方が違うのでしょうか。
C校を万が一落とした場合
安全校(滑り止め校)を万が一落とした場合
「全落ち」を防ぐ守りの戦いに切り替えです
というのは大切です。
まれに第一希望にこだわって、強気の受験を強行するご家庭がありますが、やめたほうがいいと思います。
事前に組んだ受験パターンは「どんな事態が起ころうとも」守ることが大事です。近年は即日発表や午後入試の隆盛も手伝い「W出願」をしているところも多いはず。たとえば、実力相応校のA中に合格すれば、翌日は挑戦校のB中を受験。反対にA中に不合格なら翌日は安全校のC中を受験するというもの。
— 矢野耕平 (@campus_yano) 2019年1月29日
毎年のように同種の話を耳にするのですが、A中に不合格になり、受験生本人が取り乱した結果「明日はやっぱりA中を受けたい。後悔しないから!」と懇願するという事態。子を不憫に思う保護者がそれをつい受け入れてしまうことがある。残酷なようですが、その願いは聞き入れないほうが良いのです。
— 矢野耕平 (@campus_yano) 2019年1月29日
予め想定したパターンを「強気」なものに崩した結果、それで上手くいったケースをわたしはほとんど知らない。この場合はC中を絶対に受験すべき。そこで合格をしっかり確保することが翌日以降の入試の原動力になるのです。
— 矢野耕平 (@campus_yano) 2019年1月29日
併願校選びをしっかりと
「『行かせてもいい!』と思える学校を広い偏差値帯で探しておくこともとても大事です」と黒木は言います。まったくもってその通りだと思います。
併願校選びの大切さは大学受験や高校受験にも言えることです。とりわけ高校受験の場合には 12 月はじめの進路相談までに私立併願校を決めることになりますから、早めの情報収集が大切です。
学校の「生き残り」
上の黒木のセリフを受けて、お父様がこうおっしゃいます。
下の偏差値帯でそんなに都合よく気に入る学校がみつかるもんですかね?
黒木の答えはこうです。
偏差値では見劣りこそすれその学校がこの少子化の最中「生き残っている」こと自体が既に魅力的ですよね
しかし、この発言は妥当でしょうか。
神奈川県では「生徒急減期中である当面の間は、原則として、高等学校の設置認可……は見合わせる」ことになっています。
競争が起きない状況のなかで「生き残る」のはそこまで難しいことでしょうか。中学入試で生徒を集められなければ、高校入試に頼ればいいわけです。「『生き残っている』こと自体が既に魅力的」というのは、やや妥当性を欠く発言だと思われます。
※ 神奈川県,「神奈川県私立高等学校設置に関する取扱基準」,http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/783062.pdf https://web.archive.org/web/20190416013712/http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/783062.pdf,2019 年4月 16 日閲覧.