『魔女ののろいアメ』の読書感想文です。
分量は、題名・学校名・氏名を除き、400字詰め原稿用紙で3枚程度(※)です。
※ 青少年読書感想文全国コンクールの規定は2枚まで。
目次
『魔女ののろいアメ』
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『魔女ののろいアメ』を読んで
神奈川 花子
『魔女ののろいアメ』は、とてもおもしろい本でした。お母さんにもすすめたら、
「それは子どもむけの本だから、ママはいいよ」
と言われてしまいました。もったいないと思います。大人のプライドがあるのでしょうか。わたしは子どもとして、すきなだけ楽しませてもらいました。
サキちゃんは、とある日ようび、おねえちゃんのつかい走りをさせられました。まったく、頭にきてしまいます。そこに出てきたのが、あやしい魔女のおばさんです。おばさんはサキちゃんに、おねえちゃんに「ばつをあたえ」るアメをくれました。おねえちゃんへの悪口を十こふきこむと、そのアメでおねえちゃんを気絶させられるというのです。悪口はいくらでも言えそうだ……と、アメにのろいをかけはじめたサキちゃんですが、とちゅうから悪口がでてこなくなります。どうにか十の悪口を言いおえたときには、おねえちゃんがすきな気もちも、アメにまざってしまっていました。
そうしているうちに、おねえちゃんがサキちゃんのところにやってきます。やっぱり、おねえちゃんに「ばつをあたえ」るのはいやだな、と思ったサキちゃんは、おねえちゃんにぜんぶ話してしまいました。おねえちゃんは
「わたしの悪口を十こもいったんだ」
といっておこります。それでもこういいました。
「でもね、なんでだろう? 悪口はすごく頭にきても、サキのことはきらいにならないんだ」
さいごにのろいアメは魔女のおばさんの口に入ります。おねえちゃんがすきな気もちがまざったアメは、のろいアメのくせに、あまい味までしました。
サキちゃんの、おねえちゃんのことが大すきな気もちが、悪い魔女にかったのです。こんなにすてきなお話ってあるでしょうか。
わたしたちはついつい、家ぞくや友だちの一回一回のふるまいやことばから、その人をすきだと言ったりきらいだと言ったりしてしまいます。でも、それは、その人といっしょの時間が長ければ長いほど、どうでもよくなるものです。ちょうど、サキちゃんがおねえちゃんにアメを食べさせられなかったように。そして、おねえちゃんがサキちゃんのことをきらいになれなかったように。たった一回のふるまいや、たったひとことのことばで、それまでのつみかさねはこわされないのです。
大切なのは、いつもの生活です。いつもの生活がわたしたちを形づくります。そうしてつくられたわたしたちが、一回や二回のミスでだめになることはありません。ここでわたしたちをささえてくれるものを「徳」といいます。
「徳」が高い子は、先生にしかられることもすくないです。「徳」がひくい子は、それをズルいといいますが、わたしたちは「いつものわたしたち」をはなれて「よい・悪い」を決めているわけではないのです。
参考
青少年読書感想文全国コンクール 2019 課題図書が発表
https://kanagaku.com/archives/26628