神奈川大学給費生試験 2024 国語の大問1「古文」の解答速報(現代語訳等のみ)です。
問題文の出典は世阿弥『風姿花伝』第三 問答條々で、「問。能に、得手得手とて、ことの外に」から「心中に案を廻らすべし。」まで。岩波文庫版で 48 ページから 53 ページにあたる部分です。
ここでは岩波文庫に加え、『新編日本古典文学全集 88 連歌論集 能楽論集 俳論集』238 ~ 241 ページも参考にしています。
- 神奈川大学給費生試験 2024 解答速報 古文 問9・11・16
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目次
問一
「下手の長所を上手が採り入れて演じないの」(『全集』238 ページ)
正答 ②「下手な役者でも持っている一流の役者より秀でている技」
①「人間関係」、③「情熱」、④「幻想」がそれぞれ不適当。
問二
「できないからでしょうか。それとも、まねてはいけないからしないのでしょうか」(『全集』238 ページ)
正答 ①「できそうもないからか、あるいは、してはならないことであるからか。」
「かなはぬ」で①か②。「す/まじき/事」で「してはならないこと」。
問三
「いかなる方面の芸であろうと、どうしてやらないはずがあろうか。」
正答 ③「どのような方面のことであっても取り組まなければならない」
①「必要があるのだろうか〔いや、ない〕」、②「配慮することがあるのだろうか〔いや、ない〕」はそれぞれ不適当。
④「どちらの意向を取るかで悩むことはないはずである」は「いづれの向きをもせ」を「どちらの意向を取る」と解釈している点で不適当。
問四
問題文の「なきとは、工夫はなくて慢心あるゆゑなり」、現代語訳で「なぜいないかと言えば、芸についての工夫はなく、逆に慢心があるからだ」(『全集』238 ページ)にあたる部分を参考にする。
正答 ③「才能と努力の両方を極める上で思い上がりがあるから」
「慢心」について触れているのが③のみ。
問六
「自己の長所や短所を十分承知しているはずである」(『全集』238 ページ)
正答 ④「芸を向上させる上でなすべきことを当然理解しているはずだ」
問七
正答 ①「下手な役者の真似などするものかという頑固さにとらわれるから」
「『我より下手をば似すまじき』と思ふ情識あらば」を参考に。
問十
「上手な人でさえ慢心があっては芸力が低下してしまうだろう。まして下手な役者の身の程をわきまえぬ慢心の弊害は甚大だ。」(『全集』240 ページ)
正答 ②「一流の役者ですら自らを反省することがなく得意になれば能を極めることなどできない。まして、下手な役者が自分に欠点などないと思い上がるのは致命的である。」
問十二
「稽古がおろそかでは、天性の位があっても無駄に終わってしまうだろう。」
正答 ①「稽古をしないのであれば、生来持っていた芸の品格も無駄なものとなってしまうのである」
問十四
「芸の垢が洗い流されてしまえば、この位が自然ににじみ出てくることもある」(『全集』241 ページ)
正答 ①「芸が洗練されて欠点がなくなると、自ずと『位』を得られることがある」
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