私立中学校・高校 文化祭日程 2024

橘学苑事件での労働組合配布ビラ、県労委&横浜地裁の判断

労働組合が街頭で配布するビラの表現とそれに対する判断とについて、橘学苑事件が参考になります。

※引用文中の強調はカナガクによります。


橘学苑事件 県労委

神労委令和3年(不)第7号橘学苑事件命令交付について
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/an8/roui/meirei/r4/r3fu7.html

ビラの内容は、いずれも法人の社会的評価を低下させる懸念がないとはいえないが、全体としては組合らの意見を一般に知らしめるためになされたものといえる。

また、法人は、職員会議で組合のツイッター画面を映し出し、入学希望者が減ることが懸念される旨の話をする、ビラ配布に抗議する文書を組合に送付する等の行為を行っており、組合を疎ましく思っていたことが推認される。

さらに、令和2年9月5日に行われたビラ配布において、A及びB以外の教員も参加していたにもかかわらず、A及びB以外の教員に対する事情聴取や懲戒処分などは行われていないことからすれば、A及びBを諭旨退職処分及び懲戒解雇処分としたのは、組合員であることを理由として行った処分であり、労組法第7条第1号の不利益取扱いに該当するといわざるを得ない。


カナガクまとめ(県労委)

橘学苑が2人の先生に不当労働行為 労働委員会が救済命令
https://kanagaku.com/archives/61862


橘学苑事件 横浜地裁

Case331 新聞の取材に法人を批判するコメントをしたことやビラを配布したことが正当な組合活動の範囲内であるとして懲戒事由にならないとされた事案・学校法人橘学苑事件・横浜地判令4.12.22
https://suzukiyuta.jp/2023/05/28/case331/

判決は、労働条件、労働環境等の改善及び使用者の経営方針、活動内容等の改善を求める目的の下で組合活動として表現行為を行う場合には、その記載表現が厳しかったり、多少の誇張が含まれたりしていても、性質上やむを得ないというべきであり、そのような表現行為によって、使用者の運営に一定の支障が生じたり、使用者の社会的評価が低下したりすることがあっても、使用者としては受忍すべきものであるといえるとしたうえ、表現行為が組合活動の一環として行われている場合、当該表現が、使用者の社会的評価を低下させるような事実を公表したり使用者を批判する意見を公表したり、その結果、使用者の運営に一定の支障が生じるものであったとしても、①当該表現行為が、労働条件、労働環境等の改善及び使用者の経営方針、活動内容等の改善を求める目的でされており、②当該表現行為を行った手段、態様などが必要かつ相当なものであり、③当該表現が、虚偽の事実を記載したものであったり、殊更に事実を誇張又は歪曲したりしたものではないなどのときには、正当な組合活動として、懲戒処分の理由にすることは許されないとしました。