平成25年度 横浜市立中学校3年生 後期中間試験では、「豊かな言葉 俳句十六句」から以下のような問題が出題されました。
「俳句十六句」定期試験問題
次のA~Hの俳句について、それぞれ後の問いに答えよ。
A 古池や蛙飛こむ水のおと 松尾芭蕉
1 この句は、何を詠んだものといえるか。次の中からもっともよいものを選び、記号で答えよ。
- ア 蛙が次々と池に飛び込む音が鳴り響くにぎやかさ。
- イ 古池に漂う、世俗の騒がしさを忘れさせるような穏やかさ。
- ウ 静かな池に響く蛙の水音と、その後に広がる静寂。
- エ 気ままに動き回る蛙の自由さと、池に飛び込む経やかさ。
B 斧入て香におどろくや冬こだち 与謝蕪村
1 この句の中で、作者は「冬こだち」に何を感じ取ったのか。次の中からもっともよいものを選び、記号で答えよ。
- ア 斧の衝撃に耐える丈夫さ。
- イ 冬に新芽を出す元気さ。
- ウ 寒さに負けてしまう弱さ。
- エ 内に秘めた生命の強さ。
C 桐一葉日当りながら落ちにけり 高浜虚子
1 この句に詠まれた「桐の葉」の散り方としてもっともよいものを、次の中から選んで記号で答えよ。
- ア ゆっくりと舞うように散る。
- イ 音を立てず順にすっと散る。
- ウ 風に吹かれ遠くに舞い散る。
- エ 次から次へ絶え間なく散る。
D 咳をしても一人 尾崎放哉
1 このような五・七・五にとらわれない俳句の形式のことを何というか。次の中からもっともよいものを選び、記号で答えよ。
- ア 定型俳句
- イ 無定型俳句
- ウ 自由律俳句
- エ 自由型俳句
2 この句に込められた作者の心情としてもっともよいものを、次の中から選んで記号で答えよ。
- ア 孤独感
- イ 絶望感
- ウ 優越感
- エ 満足感
E 滝落ちて群青世界とどろけり 水原秋櫻子
1 この句の鑑賞文としてもっともよいものを、次の中から選んで記号で答えよ。
- ア 一瞬の情景を鋭くとらえ、カメラのように色鮮やかに切り取り描き出している。
- イ 単純だが豪快な自然の描写が、作者の孤独感をよりいっそうきわだたせている。
- ウ 夏の生命カにあふれた自然の情景を、色彩描写と力強い音とで描き出している。
- エ 寒々とした風景にひそむ自然の生命力に対する作者の新鮮な感動が感じられる。
F 金剛の露ひとつぶや石の上 川端茅舎
1 この句は、何を詠んだものといえるか。次の中からもっともよいものを選び、記号で答えよ。
- ア 本来はかないはずである露のゆるぎなく輝く強さ。
- イ 金剛ほどではないが懸命に光を放つ露のけなげさ。
- ウ 朝の光に照らされて消え入りそうな露のはかなさ。
- エ 金剛のような固さを持っていない露のやわらかさ。
G いなびかり北よりすれば北を見る 橋本多佳子
1 この句には、作者のどのような心情が暗示されているか。次の中からもっともよいものを選び、記号で答えよ。
- ア 作者の中にくすぶっていた怒りや憎しみ。
- イ 作者が思い返した悲しみと絶望感。
- ウ 作者の内面にひそんでいる不安や孤独感。
- エ 作者がとっさに抱いた驚きと感動。
H 戦争が廊下の奥に立つてゐた 渡辺白泉
1 この句で用いられている表現技法は何か。次の中からもっともよいものを選び、記号で答えよ。
- ア 倒置法
- イ 対句法
- ウ 反復法
- エ 擬人法
2 この句に込められた作者の気持ちとしてもっともよいものを、次の中から選んで記号で答えよ。
- ア 家族が戦場で戦っていることへの悲嘆。
- イ 家の中に入り込んだ敵兵を見つけた時の驚き。
- ウ 日常生治にも影を落とす戦争への恐れ。
- エ 戦争で死んだ兵隊の亡霊を家の中で見た恐怖。
参考
※ 森崎和江「朝焼けの中で」定期試験問題 横浜市立中学校 H25
※ 竹田青嗣「『批評』の言葉をためる」定期試験問題・解答 公立 H25
※ 小久保英一郎「月の起源を探る」定期試験問題・解答 公立 H25