全公立博 2020

定通分割選抜での公立志望者吸収 押しつけられる「矛盾」

神奈川県高校教育会館教育研究所の金沢信之さんは 2011 年 11 月の『ねざす』48 号に

高校入試制度の変遷
明治から現代までを概観する

を寄稿しました。

このなかで金沢さんは、現行の神奈川県公立高校入試制度について

公立高校への入学者増を吸収する現実的な手法として、定時制と通信制は入試が2回になった〔共通選抜と定通分割選抜との2回〕。矛盾を定通に押しつけているにすぎない。全日制普通科進学率を回復し、さらに上昇させるためには、公私 6:4 の固定募集枠を撤廃する必要があるのは誰が見ても明らかなことだ。早急にその議論をしてもらいたいと思う

と訴えます(〔きっこう括弧〕内はカナガクによる注です)。

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公教育の理念と、私学の存続と

公立高校が募集定員を増やし過ぎると、私立高校が入学者を確保しづらくなって困ります。このため公立高校はむやみに募集定員を増やせません。しかし、公立高校での学びの機会は広く提供されるべきです。そこで導入されたのが定通分割選抜だといいます。

希望すればだれもが高校での教育を受けられるべきだという理念と、公立高校の定員の問題と。この2つの間の「矛盾」を押しつけられているのが定通分割選抜のようです。

参考

さて、神奈川の私学で言えば、……高校入試における公立と私学の定員比率をめぐる訴訟がありました。

県は人口増に対処するために、県立高校を 100 校増やす計画を 1970 年代に立てました。その際、生徒数が減少したときは、県が責任を持って県立高校の統廃合をすると確約していたのです。しかし、県教育委員会が一向に定員を変更する姿勢を見せなかったため、県私立中学高等学校協会が県を相手に提訴しました(その後、定員協議の場を設けるとの知事提案を受け、訴えは取り下げました)。

工藤誠一(現 聖光学院校長),『わが人生 17 ぬくもり伝えて 『脱・進学校』山手の丘の実践』98 ~ 99 ページ,2019 年9月 20 日初版.


Sources

金沢信之,「高校入試制度の変遷 明治から現代までを概観する」『ねざす』48 号, http://www.edu-kana.com/kenkyu/nezasu/no48/tokusyuu1-11.htm ,2011 年 11 月.