『かみさまにあいたい』の読書感想文です。
分量は、題名・学校名・氏名を除き、400字詰め原稿用紙で3枚程度です。
目次
『かみさまにあいたい』
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『かみさまにあいたい』を読んで
神奈川 太郎
子ども向けの本は、これまでたくさん本屋さんにならべられてきました。その数は、ぼくが子どもでいられる時間を全部使っても読み切れないほどです。それなのになぜ、毎年新しい子ども向けの本が売り出されるのでしょうか。それはきっと、時代によってぼくたちが生きている社会がちがうからです。昔の名作にたよってばかりでは、世の中の変化についていけないからです。
ぼくたちが生きているいまの日本では、お母さんも働くのがふつうになってきています。お父さんの給料だけでは、昔のようなゆたかな生活ができなくなってきたからです。家族のあり方もさまざまになってきています。お母さんだけしかいない友だちもけっこうな数います。そうしたお家でも、やはり、お母さんが働かなければなりません。
働くお母さんにとっての力強い味方は、自分のお母さん、つまり、ぼくたちにとってのおばあちゃんです。お母さんにとってみれば、仕事に行っているあいだ、おばあちゃんが子どものめんどうを見てくれれば大助かりです。
ところが、ここに大きな問題が発生します。お母さんがお母さんになるのがおそくなってきた(つまり、ぼくたちが生まれるのがおそくなってきた)こともあり、ぼくたちがまだ子どものうちに、おばあちゃんが認知症にかかってしまうようになってきました。
これはとてもつらいことです。大好きだった人がどんどん変わっていってしまう。大好きでい続けたいのに、きらいな気もちがわいてくる……。
『かみさまにあいたい』のテーマのひとつは、ぼくたちと認知症との関わりです。新しい時代のぼくたちのなやみです。この本は、それをやさしくすくいとります。
お話の終わりの方の、ナンシー先生のセリフが心に残りました。
「ものは、時間がたてば古くなっていくけど、思い出は消えないし、ずっときれいなままでしょ」
「形がなくなったことで、思い出が永久保存されたような気がしたの」
先生はこれを、先生のお父さんの古びたいすを燃やしながら言っています。ぼくには、このセリフの向こうに先生のお父さんがいるような気がしました。
人は、時間がたてば年を取っていきます。認知症になれば、以前の思い出が悪い思い出で「上書き保存」されかねません。だからこそ、ぼくたちはお世話になったおばあちゃんたちを「施設」に送ってしまうのでしょう。そして、そういった「施設」がかまどとして、おばあちゃんたちを「ずっときれいなまま」「永久保存」していくのでしょう。
おばあちゃんたちの苦しみも相当なものがあると思います。今度はそちらからの物語も読んでみたいと思いました。
参考
課題図書
青少年読書感想文全国コンクール 2019 課題図書が発表
https://kanagaku.com/archives/26628
当原珠樹さん作「かみさまにあいたい」(ポプラ社)表紙、挿絵を描かせていただきました。少年2人が大きな成長をとげる夏のお話です。バスのシーンがお気に入りです。ぜひ手にとって読んでいただけたら嬉しいです。https://t.co/laqapKLc08
— 以 (@sane_saane) 2018年4月13日
事業実績→ かみさまにあいたい (ポプラ物語館) 当原 珠樹 (著) https://t.co/VTkYJebMvS
— 校正・校閲の鴎来堂 (@ouraidou) 2018年4月13日
妹がポプラ社から本を出しました。小学校中学年向け児童書です。「転校生とまぼろしの蝶」当原珠樹作、丹地陽子絵。定価1000円。入学祝いにいかがですか?本屋で見かけたらよろしくで… http://twitpic.com/1al8w4
— 大沢ケイト (@osawakeito) 2010年3月24日