『チキン!』の読書感想文例です。
分量は、題名・学校名・氏名を除き、400字詰め原稿用紙で3枚ぴったりです。
目次
チキン!
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『チキン!』を読んで
神奈川 太郎
『チキン!』はとてもおもしろい本でした。ぼくたちのための本だなをおもしろくしていくリーダーになるような本でした。
このおもしろさはどこから来るのでしょうか。それは、作者いとうみくさんのハートに違いありません。
『チキン!』をつらぬくテーマは、「正義は勝つ」です。たとえその場では損になりそうでも、正しさを追い求めることで、ぼくたちは幸せになれる。作者のいとうみくさんは、ぼくたちにそう伝えています。たとえ強い子が相手であったとしても、心の清らかさを曲げないことで、ぼくたちは明るく暮らしていくことができる。真中さんの姿は、ぼくたちにそう示しています。
もちろん、その場その場では、正直でいることが損になることが多いです。真中さんも、「前の学校」では、弟と一緒にひどい目にあいました。転校してきてからも、ずっと大変でした。でも、相手の顔色をうかがって、強い子にびくびくしながら、心にヤマシサを抱えながら毎日を過ごしていたクラスを変えられたのは、真中さんだけでした。
いとうみくさんのハートの真ん中には、このような「正義は勝つ」という信念があるのでしょう。だから、それがお話の幹となって、ぼくたちの心を打つのだと思います。
テーマがまじめな一方で、『チキン!』の語り口はとてもコミカルです。進行役を務める日色くんが、お話が暗くなるのを完ぺきに防いでいます。悪者がギャフンというところも、読んでいるぼくには痛快で、一冊を一気に読み通してしまいました。
これだけおもしろかったからこそ、初めは、お話の終わり方に不満を感じました。お話が一学期の終わりくらいに差しかかる頃から、
「もしかして、そういう終わり方なの?」
と不安だったのですが、それが見事に当たり、
「もう、どうしてそういう終わり方にしちゃうんだよ!」
と、残念な思いでいっぱいでした。どうしてぼくたちのために書かれる本は、みんなこういう終わり方をするのでしょうか。何で、こんな「型通り」の終わり方なのでしょうか。
振り返ってみれば、将棋の描写をはさむところや、羊羹のおいしさが描かれるところなどにも、「型通り」の匂いがします。これではせっかくのお話がもったいないと思いました。いとうみくさんのハートと力があれば、もっと自由に書いた方がおもしろくなるのに……。
しかし、改めて考えてみれば、「型通り」のお話がたくさん書かれ、『チキン!』のようなすばらしい本が生まれることは、子ども向けジャンル全体のレベルを上げていくはずです。こうした本がリーダーになって、もっとたくさんのおもしろい本を読めるようになるのなら、これからが楽しみだとも言えるかもしれません。
参考
- 『二日月』(いとうみく)読書感想文例 小学校中学年
- 話題ネタ!会話をつなぐ話のネタ,「『チキン!』読書感想文あらすじ(ネタバレ)と例文・オススメ度」, http://xn--5ck1a9848cnul.com/8915 ,2017年7月7日閲覧.