全公立博 2020

『ダイヤモンド』が慶應義塾高校を大学合格力県内最下位に

『ダイヤモンド セレクト』 2020 年8月号は「都道府県別『大学合格力』高校ランキング」を掲載しました。

神奈川県のランキングは

  1. 栄光学園
    (中学受験・男子御三家)
  2. 聖光学院
    (中学受験・男子御三家)
  3. 横浜翠嵐
    (高校受験・学力向上進学重点校)
  4. 湘南
    (高校受験・学力向上進学重点校)
  5. 浅野
    (中学受験・男子御三家)

と 138 位まで続きます。しかし、このランキング、最下位の 138 位(※)に

  • 厚木清南
  • 元石川
  • 慶應義塾
  • 東海大学付属相模
  • 横浜商科大学

の5校が並ぶなど、かなりおかしい部分が多く見られます。

いったいどのようにして作成されたランキングなのでしょうか。

※ランキング非掲載の高校もあり、その点では最下位と言えません。

広告


都道府県別順位の計算方法

今回の『ダイヤモンド セレクト』における「都道府県別『大学合格力』高校ランキング」の計算方法は以下の通りです(強調はカナガクによります)。

順位は 2020 年国公立 100 大学合格力による。

対象となる大学/医学部ごとに、河合塾による偏差値(ボーダーランク)主として参照して算出した難度を各高校の合格人数にかけて加重平均した合計を 2020 年卒業生数で除した。

例1

偏差値 60 の対象大学に 20 人、偏差値 40 の対象大学に 30 人が合格した、卒業生数が 240 人の高校の場合、合格力は「10.0」です。

$$\dfrac{60 \times 20 + 40 \times 30}{240} = 10.0$$

例2

偏差値 75 の対象大学に 10 人、偏差値 60 の対象大学に 20 人が合格した、卒業生数が 240 人の高校の場合、合格力は「8.125」です。

$$\dfrac{75 \times 10 + 60 \times 20}{240} = 8.125$$


なぜランキングがおかしいのか

ランキングのおかしさは、上記の計算方法に由来します。

計算方法はおおまかには

$$\dfrac{\text{偏差値} \times \text{合格者数}}{卒業生数}$$

となっている(実際には、これを複数大学/医学部について行う)わけですが、これだと、どんなに偏差値が低い大学/医学部であっても、対象となっている大学・学部であれば、合格者数が多ければ多いほどランキングが上がることになります。受験科目数やセンター比率なども考慮されていません。

また、対象となっている大学が「国公立 100 大学」である(神奈川県立保健福祉大などは入っていません)ため、卒業生が専ら私立大学に進むような場合、ランキングが上がりません。

慶應義塾がランキング最下位になっているのは、卒業生のほとんどが慶應義塾大学に進んだためでしょう。東海大相模横浜商科大も同様のはずです。

厚木清南は全日制・定時制・通信制をもち卒業生数が多い(分母が大きい)ための最下位、元石川は私立志向、卒業生数の多さからの最下位なのだと思われます(国公立は都留文科大学1人合格)。

ランキングのおかしさの詳細につきましては、下記おおたとしまささんの記事をご覧ください。


参考

おおたとしまさ,「ダイヤモンド『高校ランキング』に論理的欠陥」,https://blogos.com/article/93925/,2014 年9月5日.


Sources

『ダイヤモンド セレクト』 2020 年8月号 157 ページ,2020 年7月 14 日発売,株式会社ダイヤモンド社.