『AERA』7月 22 日号は
私立高校の非正規教員が悲鳴 サービス残業「月 160 時間」
私立校の教員の約4割が非正規/突然の「雇い止め」通告に提訴
と題した記事を掲載しました。
記事は「6年間で 72 人の雇い止めをした」という「横浜市の中高一貫の学校法人」について触れています。
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目次
記事に対する疑問点
今回の『AERA』の記事ですが、疑問点がないわけではありません。
6年間で 72 人?
まず第一に、「6年間で 72 人」という記述について。
黒岩知事が行った5月 28 日の定例記者会見では、6年間で「退職」した人数はもっと少なくなっています。
「72 人」という数字にはおそらく正規採用の「専任」の先生が含まれているはずで、まずそうした先生方の「退職」については「雇い止め」とは言い難いでしょう。
そもそも、県の調査では「雇い止め」はなかったとされていたはずです。
定例記者会見(2019年5月28日)結果概要
http://www.pref.kanagawa.jp/chiji/press-conference/2019/0528.html
【参考】東京新聞 Tokyo Web,https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201904/CK2019041302000298.html ,2019 年4月 13 日 夕刊.
たしかに「中高一貫」だけれども
そして第二に「中高一貫の学校法人」というところです。たしかに4月に問題になった学校では中学校募集も行っていますが、その規模は極めて小さいものです。
たとえば、『中学入試のための合格資料集 平成 30 年度用 首都圏版』(プレスト)の 33 ページによれば、平成 29 年度入試における中学校募集の
- 定員は 60 人で、
- 合格者数は 17 人、
- 入学者数は 15 人
でした。
そして、平成 30 年4月 10 日に発行された『首都圏高校受験案内 2019 年度用』(晶文社)の 544 ページによれば、この学校の高校生の人数は
- 男子 488 人
- 女子 431 人
です。
たしかに中学校もありはするのですが、高校が毎年1学年あたり約 300 人を擁するのに対して、中学校の規模があまりに小さいです。
これを「中高一貫」と書く際には、何らかの断りを入れてほしかったように思います。
私立高校を志願・併願する際には
私立高校を志願・併願する際には、
- その学校がどれだけ先生方の育成に対して積極的で
- 学校の精神と共にベテランとなった先生方がどれだけ多くいらっしゃるか
という点に注意が必要です。どのような教育設備を整えて、どれだけ積極的に広報活動を展開しようとも、結局ひとりひとりの生徒さんと向き合ってくださるのは先生方です。
その先生方を大切にしていない学校には、一定の注意を向けるべきでしょう。
具体的には、先生方の内に占める、有期雇用者・非常勤講師の割合などを質問してみて、
- その割合を答えられない場合や、
- その割合が高い場合
には、学校側の説明に対して納得できるかどうか考えてみるのが良いでしょう。
Notes
4月に「雇い止め」が疑われて問題となった学校法人ということで、特定の学校を想定していますが、『AERA』記事中に学校名はありません。
まずもって誤解はないものと確信していますが、確証はない旨、お断りしておきます。