2016年度「第62回 青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書、『木のすきなケイトさん』の読書感想文例です。
分量は、題名・学校名・氏名を除き、400字詰め原稿用紙で3枚ぴったりです。
木のすきなケイトさん
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『木のすきなケイトさん』を読んで
神奈川 花子
木のすきなケイトさんは、カリフォルニア州サンディエゴを木でいっぱいにした、本当にいた女の人です。
南カリフォルニアのはしにあるサンディエゴは、もともと、砂漠の町でした。町の公園も、ぜんぜん公園らしくなく、牛に草を食べさせたり、ゴミをすてる場所になっていました。ふつう、公園には木かげがあって、ベンチが置いてあったりするものです。
大学を出て、学校の先生としてサンディエゴにやってきたケイトさんは、そうしたサンディエゴに、どうにか木を植え、森を育てようと思いました。なぜなら、ケイトさんは木が大すきだったからです。
当時、サンディエゴのほとんどの人が、「木なんか育つはずがない」と、思っていました。ケイトさんの友だちも、日ざしの強い、かわいた土地で生きられる木を見つけるなんてむりだと思っていました。
しかし、ケイトさんは知っていました。サンディエゴにぴったりの木が必ずあることを。ケイトさんは、木についてならだれよりもくわしかったのです。
ケイトさんは、北カリフォルニアの森で育ちました。木の葉っぱで遊び、科学の勉強が大すきな女の子でした。木がすきですきでたまらず、大学で植物のしくみや、世界じゅうの木について勉強しました。
そんなケイトさんだったから、砂漠の町サンティアゴでも、木を育てられると思ったのです。
みんながムリだと思ってあきらめていることでも、それについてくわしく知っていれば、どうにかなると思えます。きちんと勉強していれば、何かできそうだと考えられます。
ケイトさんは世界じゅうの園芸家に手紙を書いて、「砂漠でも育つ種をおくってください」と、たのみました。南のメキシコに元気に育つ木をさがしに行きました。そして、手に入れた木を町じゅうに植えていくと、砂漠の町のいたるところに緑があふれていきました。
ケイトさんは、チャンスをものにする天才でもありました。
サンティアゴで大きな博覧会が開かれると発表されたときのことです。博覧会の会場には、あの、むかしは牛と草とゴミしかなかった公園が選ばれました。公園にはもう木が植えられていましたが、博覧会にくる人たちのために、もっともっと木が必要だ、ということになりました。ケイトさんは、大チャンスだと思い、おおぜいの人に手つだってもらって、その公園を木にあふれる公園に変えました。ケイトさんは、公園の名前をとって、「バルボア公園の母」とよばれるようになりました。
私はケイトさんから、木でも何でも、何かを好きになることがどれだけ力を持つのかということと、何かをくわしく知ることの強さ、そして、チャンスを逃がさずに動くことの大切さを教わりました。