2016年度「第62回 青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書、『ボタンちゃん』の読書感想文例です。
分量は、題名・学校名・氏名を除き、400字詰め原稿用紙で2枚ぴったりです。
ボタンちゃん
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『ボタンちゃん』を読んで
神奈川 花子
『ボタンちゃん』は、とてもこわい絵本でした。
まず、絵がこわかったです。
おばけがかかれていたりしたわけではありません。かかれていたのは、ガラガラや、ホッキョクグマのぬいぐるみなどでした。それでもやはり、どこかこわくて、北極の遊園地のページなど、わたしにはわるい夢のようでした。
そして、その絵よりももっとこわかったのが、みんなが自分の大切なものをどんどんとわすれていって、へいきでいることでした。
ある日、ボタンちゃんをブラウスにとめていた糸が切れてしまいました。なかよしのボタンホールちゃんは、泣きそうな顔になって、しかしどうすることもできずにいました。かなしいお別れでした。
ところが、もうそのつぎのページで、ボタンちゃんはコロコロコロとゆかをころがるたのしさに心を軽くしています。ボタンちゃんはボタンホールちゃんのことをわすれてしまったのです。
ボタンちゃんは、子どもべやのかぐのかげで、アンナちゃんにわすれられてしまったガラガラ、よだれかけ、ぬいぐるみに出会いました。みな、とてもかなしそうで、よごれたすがたにかかれています。そんなみなに、ボタンちゃんは少しつめたいようすでした。まるで
「あなたたちはわすれられてしまったのね。でも、わたしはちがうわ」
とでも言っているような。
しかし、そのボタンちゃんにも、「思い出の箱」にしまわれるときがやってきます。箱の中の声は、アンナちゃんの耳にはとどきません。「思い出の箱」の中にしまわれて、わすれられてしまうのです。
ボタンちゃんのように、わたしも、いつかだれかの「思い出の箱」の中にしまわれてしまうのでしょうか。