私立中学校・高校 文化祭日程 2024

新入試、観点別評価に信頼性・妥当性が担保されている前提

観点別評価自体に信頼性・妥当性が担保されているのは前提

神奈川県教育委員会は 2023 年7月 18 日に行われた

神奈川県教育委員会と学習塾の情報交換会

において、かながわ民間教育協会からの質問(質問5)、

観点別の評価について県教委のお考えを伺いたい。

に対し回答を行いました。

県教委の回答は概ね以下のようにまとめられます。

  • 研修・研究・指導を行うなど、様々な場面で信頼性・妥当性のある評価が行われるように、継続して取り組んでいる。
  • 評価の信頼性・妥当性に疑念を持たれてはならないことを、市町村教育委員会を通して各学校に伝えている。
  • 県のスタンスとして「観点別の評価自体に信頼性・妥当性が担保されているという前提のもとで、一部変更した入学者選抜制度としています」。

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「観点評価の基準は全県で統一のものですか」

県教委は、かながわ民間教育協会からの質問(質問6)、

観点評価の基準は全県で統一のものですか。

に対しては、

全県統一で目標に準拠した評価を行っています。

としています。

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「研修・研究・指導」の効果、検証されているのか

県教委は情報交換会で、評価の信頼性・妥当性について「研修・研究・指導」の部分を強調しています。しかし、

『主体的に学習に取り組む態度』を県教委として集計してはどうでしょうか(絶対評価が導入された直後に成績表を集計したように)。

という、かながわ民間教育協会からの質問には回答していません。

実態として『主体的に学習に取り組む態度』の評価の「甘さ」「厳しさ」がどの中学校でも同じであることを示せなければ、完全に信頼性・妥当性が担保されているとは言えないでしょう。

そもそも、集計をせずにどうやって研修・研究・指導の成果を測るのかが不透明です。中学校の現場では「指導と評価の一体化」が行われています。中学校の先生方はご自身の「指導」(指導の対象である生徒)について、常に「評価」というフィードバックを得て、よりよい方向に向かえるよう思案していらっしゃいます。

県教委の研修・研究・指導の「評価」はどのように行われているのでしょうか。

【参考】絶対評価が導入された直後に行われた、成績表の集計

神奈川県「公立中学校の学習評価に関する調査」終了に関して
https://kanagaku.com/archives/3738

いわゆる内申格差が発生しないように、

  1. 県では「評価資料集」を作成し、県内小・中学校に配付するとともに県教育委員会のホームページに掲載するなどの取組を進めている。
  2. また、学習評価リーフレットおよびその解説編を作成して小・中学校に配付し、校内研修会等での活用を推進している。
  3. 各学校においては、評価資料集やリーフレット等を参考に組織的・計画的な取組が進められており、児童生徒や保護者への事前・事後の説明などを通して、学習評価の妥当性・信頼性の維持・向上を図っている。

このような取組により「公立中学校の学習評価に関する調査」の目的は十分達成したと考え、平成24年度の調査を以て県教育委員会ホームページへの掲載を終了した。

※県教委の回答をカナガクが要約したもの。回答全文は https://kanagaku.com/archives/3738

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神高教、観点別評価の活用を押しとどめようとした

神奈川県高等学校教職員組合は、2022 年5月2日に、県教委「入学者選抜制度改善方針」公表を受けての神高教見解を発表。そのなかで、

「報告」がまとめられて以降、

改善方針案に観点別評価の活用を盛り込まないこと、観点別評価の入力という新たな負担を増やさないことなどを県教委に申入れ、短期間に繰り返し協議を行いました。観点別評価の活用自体を押しとどめることはできませんでしたが、2次選考(10%)においてのみ「第3学年の『主体的に学習に取り組む態度』を活用する」という最小限の活用にとどめることができました。

と述べています。

県教委「入学者選抜制度改善方針」公表を受けての神高教見解
https://www.fujidana.com/jyoho/kenkai/220502nyusen.html

  • https://web.archive.org/web/20231105081535/https://www.fujidana.com/jyoho/kenkai/220502nyusen.html
  • https://megalodon.jp/2023-1105-1715-32/https://www.fujidana.com:443/jyoho/kenkai/220502nyusen.html
  • https://archive.md/PWT5U

【参考】児童生徒の学習評価の在り方について(報告)

児童生徒の学習評価の在り方について(報告)
平成31年1月21日
中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/17/1415602_1_1_1.pdf

  • https://web.archive.org/web/20231105083218/https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/17/1415602_1_1_1.pdf
  • https://megalodon.jp/2023-1105-1732-14/https://www.mext.go.jp:443/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/17/1415602_1_1_1.pdf

○ 一方で現状の課題としては〔中略〕評定が入学者選抜や奨学金の審査等に利用される際に、観点別学習状況の評価を評定として総括する際の観点ごとの重み付けが学校によって異なるため、児童生徒一人一人をきめ細かく評価するためには、「観点別学習状況の評価」を活用することが重要との指摘もある。

○ こうした指摘等を踏まえると、国においては〔中略〕高等学校入学者選抜や大学入学者選抜等において用いられる調査書を見直す際には、観点別学習状況の評価について記載することで、一人一人に着目した、よりきめの細かい入学者選抜のために活用していくことが考えられる。

○ 〔中略〕評定をどのように用いるのかについては、通知表における扱いについては各学校において、また、入学者選抜における扱いについては選抜を行う大学や高等学校等において、評定の役割や指摘されている課題等を十分に踏まえた上で、観点別学習状況の評価を活用することも考慮しながら、適切な在り方を検討することが求められる。

※引用文中の強調はカナガクによります。

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学習評価リンク集

中央教育審議会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」

「主体的に学習に取り組む態度」の具体的な評価の方法としては、ノートやレポート等における記述、授業中の発言、教師による行動観察や、児童生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価を行う際に考慮する材料の一つとして用いることなどが考えられる。その際、各教科等の特質に応じて、児童生徒の発達の段階や一人一人の個性を十分に考慮しながら、「知識・技能」や「思考・判断・表現」の観点の状況を踏まえた上で、評価を行う必要がある。

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/17/1415602_1_1_1.pdf#page=17

研究論文「学習指導案作成の立場から見た評価規準設定の問題性」

妥当性と信頼性を付与するためには、1単元、1単位時間の評価規準をその内容に即して具体的に示さない限り、日本全国の絶対評価の妥当性と信頼性は担保できない。これを実行することによって、判断の妥当性を付与しようと試みたのが、『評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料』である

https://kanagawa-u.repo.nii.ac.jp/record/5693/files/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0No26-05.pdf

  • https://web.archive.org/web/20231105084132/https://kanagawa-u.repo.nii.ac.jp/record/5693/files/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0No26-05.pdf
  • https://megalodon.jp/ref/2023-1105-1741-32/https://kanagawa-u.repo.nii.ac.jp:443/record/5693/files/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0No26-05.pdf

高総検レポート「「観点別評価」についての批判的論点」

「観点別評価」の実践上の困難には、作業量の膨大化による矛盾と特に「意欲・関心・態度」という生徒の内心にかかわる、目に見えない対象を客観的に数値化するという矛盾の二つがある。

後者について〔中略〕どうやったら、ある生徒が「関心を持ったか」「意欲を持ったか」を「主観に流され」ないで、「客観的」に判断するための「基準」を作ることが出来るのだろうか?〔中略〕誰もが「妥当と認める客観的な」数値化が「関心」や「意欲」などの人の心情について可能なら、そのことが心理学や、脳科学における長年にわたる論争や研究対象になりはしないだろう。それほど人間の情意面を客観的に判断する「基準」を作るのは難しく今日においても不可能なのである。それでもやるというのは「いいかげんに誤魔化せ」と言っているに等しい。

高総検レポート No 80
2006年3月31日発行
「観点別評価」についての批判的論点
https://www.fujidana.com/khtukosoken/report/rep80.htm

  • https://web.archive.org/web/20231105084349/https://www.fujidana.com/khtukosoken/report/rep80.htm
  • https://megalodon.jp/2023-1105-1743-44/https://www.fujidana.com:443/khtukosoken/report/rep80.htm
  • https://archive.md/eTtXg

高総検(高校教育問題総合検討委員会)

神奈川県高等学校教職員組合
高総検
高校教育問題総合検討委員会
https://www.fujidana.com/khtukosoken/index.htm

  • https://web.archive.org/web/20231105085036/https://www.fujidana.com/khtukosoken/index.htm
  • https://megalodon.jp/2023-1105-1750-38/https://www.fujidana.com:443/khtukosoken/index.htm
  • https://archive.md/ftaCS

神奈川県立総合教育センター「指導と評価の一体化を目指した授業実践事例集」

関心・意欲・態度
〔中略〕
ワークシートの記入・提出状況によって評価した結果、生徒11名に対して、A段階が3名、B段階が8名、そしてC段階が0名という状況であった。

指導と評価の一体化を目指した
授業実践事例集
~高等学校~
https://edu-ctr.pen-kanagawa.ed.jp/kankoubutu/h15shidouhyouka.pdf

  • https://web.archive.org/web/20231105085728/https://edu-ctr.pen-kanagawa.ed.jp/kankoubutu/h15shidouhyouka.pdf
  • https://megalodon.jp/2023-1105-1757-29/https://edu-ctr.pen-kanagawa.ed.jp:443/kankoubutu/h15shidouhyouka.pdf

神奈川県教育委員会「学習評価資料集(小学校,中学校)」

カリキュラム・マネジメントの一環としての指導と評価
学習評価資料集(小学校,中学校)

令和2年3月
神奈川県教育委員会
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sassi-1-26.pdf

  • https://megalodon.jp/2023-0610-0222-07/https://www.pref.kanagawa.jp:443/documents/10306/sassi-1-26.pdf
  • https://web.archive.org/web/20231105091807/https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sassi-1-26.pdf

神奈川県教育委員会「学習評価を踏まえた授業づくりの道すじ」

学習評価を踏まえた授業づくりの道すじ
令和2年3月改訂
神奈川県教育委員会
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/zenntaibann.pdf

「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料の活用ガイド

国語

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu01kokugo.pdf

社会

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu02shakai.pdf

数学

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu03sugaku.pdf

理科

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu04rika.pdf

音楽

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu05ongaku.pdf

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/83063/tyuu_ongaku_2.pdf

美術

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu06bijutsu.pdf

保健体育

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu07hotai.pdf

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/chu07hotai.pdf

技術家庭

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu8gijutsu.pdf

英語

https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/sankochu10gaikokugo.pdf

神奈川県教育委員会「公立小学校・中学校における学習評価」

公立小学校・中学校における学習評価
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/r4gakushuhyoukakeihatsuri-fu.pdf

神奈川県教育委員会「学習評価リーフレット」

学習評価リーフレット
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/10306/gakushuuhyouka4.pdf

県央教育事務所「令和5年度 初任者研修講座 学習指導案(例)集」

令和5年度 初任者研修講座
学習指導案(例)集
算数・国語・外国語・理科
県央教育事務所 指導課
(参考資料:特別支援学級における学習指導案を作成する前に・・・。)
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/16669/reiwa5nennshidouannreisyuu.pdf