目次
「自分を傷つける関係性」からは逃げ出そう
精神科医の松本俊彦氏は『中高生からのライフ&セックス サバイバルガイド』118 ~ 127 ページに
安心できるつながりって想像できる?
キュークツな関係から逃げ出そう
と題した寄稿を行っています。
このなかでは、聞いているだけでも気が滅入るような「自分を傷つける関係性」に関して3つのタイプを挙げ、そうした関係性からは
- 逃げる
- 逃げられない場合には分析する
ことがよいとしています。
3つのタイプとは
- 否定される関係性
- 支配される関係性
- 本当のことをいえない関係性
です。
「自分を傷つける関係性」の例
否定される関係性
テストで九〇点とったのに、「何で一〇〇点がとれないの?」
「いくら勉強をがんばっても、そのがんばりに気づいてくれない……」「他のきょうだいは認められているのに、なぜ自分だけは……」
暴力をふるう恋人との関係〔中略〕「私はその程度の人間なんだ」と、自分の価値に疑問を抱かせる
学校の先生や部活の先輩から、「毎日のように頭ごなしの叱責をされる」「いつもダメ出しされている」
家族や恋人、友人から、冗談めかした口ぶりでくりかえし、「バカ」「ブス」「デブ」といった、自分の能力や容姿を否定する言葉を浴びせられる
話し合いの場で何か発言すると、きまって意見をかぶせてきて、「だからおまえはダメなんだよ」と否定される
「何とかしてあの人に認めてもらいたい」「褒めてもらいたい」と相手にますます執着し、いつまでもその関係性に留まってしまう
「自分はダメ人間だから、あの人なしでは生きていけない」と思い込む
異様に疲れやすく
意欲が急速に萎え、洗顔や入浴さえもおっくうになる
※引用は『ガイド』120 ページから。
支配される関係性
一見すると親切な人を装って、あなたの髪型や服装にあれこれと細かな注文や助言をする
食べ物や音楽の好み、友だちづきあいや恋愛にうるさく口出しする
「あなたのためを思えばこそいっているのよ」「あなたを愛しているからこそなのよ」
「今度××したら絶交(あるいは別れる)」と脅迫めいた約束を強要する
※引用は『ガイド』122 ページから。
本当のことをいえない関係性
- 宿題をせずに学習塾に通塾。講師から「宿題やった?」と聞かれたときに「やったけどノートを忘れてきてしまいました」と答える。
- 自主練習をさぼってしまったのだけれども、先生や先輩が恐くて「練習しました」と言ってしまう。
- ちょっとした問題があるのだけれども、相手が不機嫌になるのが恐くて「大丈夫」と言ってしまう。
- きちんとした理由があって買いたいものがあるのだけれども、「お金をちょうだい」と言えない。
自分を大切に考えてくれている親、あるいは友人や恋人に、「余計な心配をかけたくない」という気持ちから、本当のことをいえなくなってしまう
※引用は『ガイド』123 ページから。
※松本氏は「勘ちがいしないでください。私は決して嘘をつくのが悪いといっているわけではありません。〔中略〕緊急避難的な嘘は『あり』だと考えています。問題は、いつも嘘をつかないといけない関係性のなかに身を置きつづけることなのです。」としています。
参考文献
松本俊彦・岩室紳也・古川潤哉 編,こころの科学 Special Issue『中高生からのライフ&セックス サバイバルガイド』,日本評論社,2016 年8月 15 日発行.