教職員人事異動

神奈川大手塾勤務講師、強引な勧誘・合格実績水増しを告発

カナガクは今月、神奈川県内の大手学習塾※1)に勤務する講師が書いた一通の文書(以下「告発文」)を入手しました。

この告発文は強引な生徒勧誘合格実績の水増し※2)との実態を訴えるものです。

複数の退職者からの報告と、関連する内部資料(以下「内部資料」)とから、告発文が信頼に足るものと判断し、ここに公開します。

お願い
この記事は特定の塾を貶めることを目的としたものではありません。塾名の推定はご遠慮ください。SNS ほか各種媒体で関連する発信を行われる際には、風評被害が出ることのないようご配慮をお願いします。また、当該塾に通う生徒の皆さんには一切非がありません。中学校等で、その行為や通塾先等を揶揄したりすることのないようお願いします。

「告発文」概要

※この概要は下記の「告発文」原文をもとに、カナガクが作成したものです。

私(告発者)が勤務している神奈川県内の大手学習塾では、自塾生を利用するなどして、他塾生・塾なし生を含む「中学校別高学力者名簿」※3)を作成している。

 

名簿に載った他塾生・塾なし生の高学力者に対しては強力な勧誘を行い、軽い個別指導等を提供するなどして(自塾にも在籍したということにして)その合格実績を自塾の合格実績にも数え入れようとしている合格実績の「ダブルカウント」作戦)。


「告発文」原文

私は、神奈川のさる大手学習塾に勤務していますが、当社が行っている強引な生徒勧誘や合格者作りの手法には社会的に容認できないものがあると思い、筆をとりました。私の勤務している塾が学習塾の原点に立ち戻り、堂々と胸を張って仕事ができる会社になってほしいという願いを込めて、経営陣への反省を求め、ここに実情を明らかするものです。

私が現在勤務している塾では、通塾生に「これを頭のいい生徒に渡すように」と模試やアンケートを各学校の他塾生や成績優秀生に配布させ、生徒からの聞き取り情報をもとに、本人またはその保護者に無断で、各中学校に通う高学力者の名簿を作成し、それをもとに勧誘活動を行っています。また、勧誘に協力した通塾生には報酬として金券の類いを渡し、生徒を営業活動に利用しています。社内では「優秀生獲得目標」が存在し、実績輩出のために高学力者を集めるという動きが盛んです。一連の勧誘もこの目標を達成するためのものであり、リストに上がった高学力者を特待生として在籍させ、公立トップ校や早慶の附属高校への合格者としてカウントしようとしています。しかし、それらの生徒のほとんどが他塾に通っている生徒であり、その生徒に軽い個別指導等を提供し、在籍したことにして合格したら本来通っている塾に属するべき生徒の実績を、私の勤務している塾の実績として、言ってみれば「ダブルカウント」しようということです。そうやって得た合格実績を、今目の前で共に頑張っている生徒に、これから通ってくれる生徒に、面と向かって話すことはできません。私は生徒の前に立つ講師として、このような行き過ぎた勧誘活動によってではなく、お預かりしている生徒の成績・学力を上げて、正々堂々と合格実績を出すことこそが本道であり、またそうやって出した合格実績こそが、入塾を検討している方々にとって必要な情報であり、私たち自身が誇りをもって提示できる実績であると思っています。私の勤務している塾のやっていることは、生徒の成績・学力を上げた結果としての「合格実績」ではなく、勧誘活動によって実態の伴わない数字を作ろうとすることです。その結果、神奈川県の小中学生とその保護者に誤った情報を広めることになり、私自身到底納得できません。自分の会社の手法を目の当たりにして、「社会に貢献している」と仕事に誇りを持つことができないのが、誠に残念です。このような手法が蔓延すれば、各塾の合格実績として出した数字を合計すると、高校が実際に出した合格者数を上回ることになり、学習塾全体の合格実績の信ぴょう性が失われ、学習塾の品位を落とすことにも繋がります。また、生徒を営業の手段に使うのは、塾を信頼して通わせて下さる保護者を裏切ることになります。今一度、塾の存在意義、あるべき姿を考え、我が社の上層部には、今やっていることを直ちにやめ、ぜひ塾の原点に立ち戻っていただきたいと切に願っております。

令和2年11月18日


「内部資料」

生徒情報を集約して勧誘の進捗を管理するためのリストです。各中学校の上位3名の志望校・通塾先をリスト化しています(2020 年 10 月時点)。

画像を新しいウィンドウで開く
https://bit.ly/3pIlvq9

※4


  • ※1 「告発文」で塾名は明らかにされていません。
  • ※2 「水増し」という言葉はカナガクが用いたものです。「告発文」中で用いられているわけではありません。
  • ※3 「中学校別高学力者名簿」という言葉はカナガクが用いたものです。「告発文」中では「各中学校に通う高学力者の名簿」と書かれています。
  • ※4 掲載した 42 件はリストのごく一部です。リスト全体は 1000 件を超えます。

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【参考】公正な競争のために

合格実績について

  • 公益社団法人全国学習塾協会,「『合格実績』に関する自主基準の改正について」,https://bit.ly/391wpBE,2019 年2月 25 日.
  • おおたとしまさ,「どの予備校が信用に値するのか? 2000 人多すぎるバブル『東大合格実績』のカラクリ」『週刊新潮』2017年3月23日号,2017 年3月 15 日.

電話での勧誘について

クーリング・オフ、中途解約等について

個人情報について

講師の労働条件について


更新履歴

  • 2020 年 12 月 14 日(月)22:28
    「講師の労働条件に付いて」の表示形式を変更しました。
  • 2020 年 12 月 14 日(月)22:28
    広告表示を開始しました。
  • 2020 年 12 月 14 日(月)22:35
    表示形式を変更しました(サイドバーを表示するようにしました)。

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