教職員人事異動

鷲田清一「寂しい時代と聴く力」定期試験問題 青稜中学校 H26

平成26年度 青稜中学校3年生 前期中間試験では、鷲田清一「寂しい時代と聴く力」から以下のような問題が出題されました。

鷲田清一「寂しい時代と聴く力」定期試験問題

波線部a~eのカタカナを漢字に改めなさい。

  • a ……ということのショウコを、こんなに一日に何度も何度も……
  • b ……そこにいる者ドウシは全くつながりがない。
  • c 携帯電話のない時代だったら、周りにハイリョしたものですが、……
  • d ……その中で自分の居場所を探そうとする時、テンケイ的な行動パターンがあるように思います。
  • e ……いけないのですが、チンモクに耐えられなくなって、言葉を迎えに行く。

傍線部①「単に相手に電話をした~というコミュニケーション」とあるが、これとは逆のコミュニケーションのあり方を説明した連続した二文を抜き出し、はじめの五字を答えなさい。

傍線部②「だれかと頻繁につながっていたい」とあるが、この欲求はどのような心理から生まれたのか。その心理をⅡ段落の語句を用いて三十字以内で説明しなさい。

※ Ⅱ段落は「近代社会とは、みんな一人一人同じスタートラインに立って……」から「……強迫観念のようなものに表れているのではないだろうかと思います。」までです。

傍線部③「そういう、とても皮肉なことが起こっているように思います」とあるが、これはケータイの持つ逆説への筆者の感想である。ケータイの持つ逆説の説明として最もふさわしいものを次から選びなさい。

  • ア 他者と親密なコミュニケーションをとることを目的として開発したのに、逆に簡易的なワン切りという合図が生まれたこと。
  • イ 常に誰かと接することを可能にするために開発したのに、逆に周囲の人々に無関心になる現象を引き起こしてしまったこと。
  • ウ 離れている人ともすぐに連絡が取れることを可能にしたのに、かえって他者に依存してしまう現象を引き起こしてしまったこと。
  • エ すぐに目当ての人と接触することが可能となったのに、かえって身近な状態では会話をすることができない消極性をもたらしたこと。

傍線部④「近代社会とは、みんな一人一人同じスタートラインに立ってスタートする社会です」とあるが、近代以前はどのような社会であったのか。近代以前の説明としてふさわしいものは「A」、ふさわしくないものは「B」で答えなさい。

  • ア 生まれた階層によって、将来の進路も自然と決まってしまい選択できない。
  • イ 高い身分の家柄に生まれないと、自分の進路を選択できない。
  • ウ 初めから自分の階層が決まっているため、存在意義に疑問を抱きやすい。
  • エ 将来すべきことが決まっているので、自分の人生の意味を悩む必要がない。
  • オ 決まった進路を歩ませられるため、生きる力を失いやすい。

傍線部⑤「一種の荷物」とあるが、「一種の荷物(を持つ)」という比喩は、現代人の置かれた状態を逆説的に表現している。どのような逆説なのか、「自由」「不自由」という語句を用いて六十字以内で説明しなさい。

傍線部⑥「そういう厄介な生き物」とあるが、その厄介さの例としてふさわしくないものを次から選びなさい。

  • ア 自分の人生の意味を見いだせないと無気力になってしまう。
  • イ ここにいていいという存在意義を感じられないと自暴自棄になってしまう。
  • ウ 自分の生まれた階層に疑問を持ち、将来の進路に不安を抱いてしまう。
  • エ 人生の選択がうまくいかないと、生きる力を失ってしまう。

傍線部⑦「ここには実は怖い落とし穴がある」とあるが、「落とし穴がある」という「ここ」とは何か。その内容を説明したものとして最もふさわしいものを次から選びなさい。

  • ア 必死に他人とつながろうとする焦り。
  • イ 無条件に相手を慈しむ恋愛。
  • ウ 他人に求められることへの満足感。
  • エ 自己の存在理由を追及しなくなること。

傍線部⑧「他人に自分の存在が依存してしまう」とあるが、これがなぜ「怖い落とし穴」であるのか。その理由を説明したものとして最もふさわしいものを次から選びなさい。

  • ア 様々な人とかかわり合う機会を逃し、限定された人間関係の中で生きていくことになるから。
  • イ 自分の存在価値が自分以外の誰かによって左右されるほどもろいものであるから。
  • ウ 本来ならば自分が請け負うはずの様々な問題を他人に任せる危ういものだから。
  • エ 恋愛以外の方法で自分の存在を確認できなくなる危険性をはらんでいるから。

10

傍線部⑨「生きる力を与えてくれた」について。

  1. 赤ちゃんの例のどのような点から、「生きる力」を与えられたのか。説明として最もふさわしいものを次から選びなさい。
    • ア 赤ちゃんが無力ながら必死に生きようとする姿に関心を持つ点。
    • イ 赤ちゃんが生きるために積極的に他者に働きかけをしようとする点。
    • ウ ひ弱な存在である赤ちゃんが無垢に他者に介護を求める点。
    • エ 大人にも弱いところがあって仕方がないと赤ちゃんが教えてくれる点。
  2. 「生きる力」とは、どのようにして得られるものなのか。それを説明した次の文の空欄に当てはまる語句を考えてそれぞれ漢字三字で答えなさい。

    生きる力は、他人に対して( A )な態度で接しても得られるものではなく、他人に( B )に関心を持つことで得られるものである。

11

傍線部⑩「聴くということ」とあるが、「聴く」という行為の内容の説明としてふさわしいものを次から二つ選びなさい。

  • ア 他者の心理を理解するために、断片的な言葉をつなぎ合わせる作業をすること。
  • イ 他者の主張を理解するために、自ら進んで相手からの言葉を待ち続けること。
  • ウ 他者とのコミュニケーションを円滑にするために、相手の意見を推量すること。
  • エ 他者の心理を正面から受け止めるために、相手の言葉に誠実に耳を傾けること。
  • オ 他者に生きる力を与えるために、相手の意見を肯定的にとらえて支援すること。

模範解答

学校発表の答えは以下の通りです。

  • a 証拠
  • b 同士
  • c 配慮
  • d 典型
  • e 沈黙

携帯電話の

他人に自分の存在を依存し常に密着していないと不安になる心理。

  • ア A
  • イ B
  • ウ B
  • エ A
  • オ B

人生の進路選択の自由を得たことで、かえって自分の人生の意味や存在意義を見つけなくてはならない不自由を抱えている状態。

10

    • A 受動的
    • B 能動的

11

イ・エ