2016年度「第62回 青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書、『ワンダー』の読書感想文例です。
分量は、題名・学校名・氏名を除き、400字詰め原稿用紙で3枚ぴったりです。
目次
ワンダー
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『ワンダー』を読んで
神奈川 花子
私は自信たっぷりな人が苦手です。『ワンダー』は、その理由を私に教えてくれたような気がします。私はたぶん、自信たっぷりな人の不親切さが苦手なのです。
オーガストが初めてブラウン先生の授業を受けたとき、ブラウン先生はみんなに格言(大事なことについてのルール)を教えました。
「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときには、親切を選べ。」
私は初め、この格言はおかしいのではないか、と思いました。たとえ親切なことをするためであっても、正しくないことをすれば、結局、自分もみんなも嫌な思いをするからです。
しかし、どうやら、私はブラウン先生の考えをきちんと理解していなかったようです。ブラウン先生が言った「正しいこと」というのは、「絶対に正しいこと」という意味ではなく、「自分が正しいと思っていること」という意味だったのです。トゥシュマン先生の言葉を切り貼りして使うなら、「普遍的な善」を意味していたのではなく、「それぞれが信じる」善を意味していたのです。
私たちには、「絶対に正しいこと」など分かりません。私たちに分かるのは、せいぜい「自分が正しいと思っていること」だけです。ところが、学校にも塾にも、どこにでも、自信たっぷりな人というのがいて、自分は「絶対に正しいこと」を知っていると思っています。ビーチャー学園の入り口には「汝自身を知れ」というプレートがかかっているそうですが、外して首にかけてあげたいです。
自信たっぷりな人は、その人たちの「正しいこと」で、なぐりかかってきます。
たとえば、私たちは「正しくないこと」もしてしまいます。そのとき、自信たっぷりな人たちのボーナスステージが始まります。ある人は、私たちを頭ごなしに怒鳴りつけます。またある人は、表彰台の笑顔でほほえみかけてきます。そういう人たちのことが、私は、心の底から大嫌いです。
「絶対に正しいこと」など分かるはずもありません。だから、
「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときには、親切を選べ。」
というのです。
もし「絶対に正しいこと」が分かった気になっていたら、なおさら「親切」を選ぶべきです。そういう気になっているときこそ、いちばん危ないと思うからです。ジュリアンや彼の両親は、最初から最後まで、自分たちが絶対に正しいと考えていたことでしょう。
こんな感想を持った私なので、登場人物のなかではヴィアとミランダが好きでした。抜群にウジウジしていたからです。その次がジャック。ヘンリー・ウォード・ビーチャー賞を受けるのは彼だとばかり思っていました。勇気、親切、友情、人格……、ジャックにぴったりです。サマーにもあこがれるけれど、私には素敵すぎて、まぶしすぎたかなあ。
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ほるぷ出版 Twitter
ワンダー映画情報!カナダのバンクーバーでの撮影風景が届きました。感極まって泣いているママ役のジュリアロバーツや、パパ役のオーウェン・ウィルソンの姿。しかもワンちゃんが!これはもしや、デイジー?米国公開は4/17。日本でも早くみたい! pic.twitter.com/d5WOFoBMhV
— ほるぷ出版 (@holppub) 2016年8月10日
ほるぷ夏の思い出本★それでもう一度『ワンダー』についてつぶやいちゃうのですが、この本にはさんでいる読者ハガキに男の子が書いて送ってくれた格言が本当に傑作だったのでご覧ください。社内で大評判になりました。 pic.twitter.com/s24UXwiBb3
— ほるぷ出版 (@holppub) 2016年8月5日
『wonder』のプロモーション動画が出来ました!ワンダーフェイスブックにアップしましたので、みなさまぜひご覧ください!写真はみんなの視線を感じながら歩くオギーのワンシーンです。 pic.twitter.com/eHWxSxYcJh
— ほるぷ出版 (@holppub) 2016年6月28日
6/18(土)の産経新聞に、演出家わかぎゑふさんが『wonder』を紹介してくださいました。<上質な児童書は大人こそが読むべき本だといつも思う>とおっしゃるゑふさんの言葉は、児童書業界全体に響く一言です。ありがとうございます。 pic.twitter.com/Dr7LvWRpg2
— ほるぷ出版 (@holppub) 2016年6月20日
参考
- cuemovie,「ジュリア・ロバーツと『ルーム』ジェイコブ・トレンブレイが母子役『Wonder(原作邦題:ワンダー Wonder)』全米公開日決定」, http://cue.ms/news/wonder-us-release-day/ ,2016年6月9日(同8月14日閲覧).
- ECC海外留学センター,「アメリカ学校生活 – 中学・高校留学」, http://www.lets.ecc.jp/student/usa/school.php ,2016年8月14日閲覧.
新学期は8月中旬から9月初旬に始まり、翌年5月下旬から6月下旬にかけて1学年が終了となります。