神奈川県教育委員会は県立高校トイレでの生理用品無償配布に向け、モデル的に数校を指定し調査を行います。
12 日、県議会の文教常任委員会における小川久仁子議員(自民党)への答弁で明らかにしました。
県立高校各校はこれまでも保健室で生理用品の払い出しを行っていましたが、モデル校ではより抵抗感を持たずに生徒が用品を受け取れる「トイレでの配布」を試行。ニーズを調査します。
保健室に行かなくても構わない仕組みづくりへ
神奈川県立高校では 20 年以上前から、保健室で生徒に生理用品を提供してきました。
昨今「生理の貧困」が明らかになってきたことを受け、教育委員会は3月から年間の生理用品の「払い出し数」を調査。県立校 188 校の養護教諭に対して電話での聞き取りを実施し、高校ごとのおおよその払い出し数を調査しました。
調査結果は、
- 多い学校で年間 200 個以上
- 少ない学校で年間 20 個以下
の生理用品が払い出されている(※女子比率が高い高校では個数が多くなる傾向がある)というもの。平均すると1校あたり年間約 40 個の払い出しでした。
この数字は女子生徒数に対して明らかに少なく(2020 年度、最も女子生徒数が多い高校は鶴嶺高校で 678 人でした)、教育委員会は生徒のなかに保健室に行って生理用品を受け取ることに抵抗がある者がいると推測。必要な生徒が自由に配布を受けられるように、より心理的抵抗が少ないトイレでの配布を目指します。
トイレ配布にどれぐらいのニーズがあるのかを調査するため、今後モデル校で配布を試行する予定です。
「生理の貧困」は県立高校にも存在
聞き取り調査のなかでは、
- 毎月同じ生徒がもらいにくる
- 経済的理由で生理用品を買えないという生徒の声もある
と訴える養護教諭の先生もいらしたといいます。
自民党の小川議員、教育委員会に厳しく質問
小川議員は委員会の席上、県教育委員会保健体育課が用いた「払い出し」という言葉づかいについて厳しく追及しました。
また、年間払い出し数の調査期間が1年間だったことについても期間が短いと激しく批判し、
残念だな――って思ってるんですよ。思ってるんです。……どうなの?
と、岡野教育監を引き出すこともありました。
参考文献
会議の録画映像
神奈川県議会インターネット議会中継 録画映像,「令和3年5月開催分 5月12日 文教常任委員会」,https://kanagawa-pref.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=2301,2021 年5月 12 日(同 23 日閲覧).
※県立高校における生理用品無償配布については、1:16:16 (-1:37:02) ごろから(ダウンロードして観る場合には 01:07:42 ごろから)。
Facebook 自民党
https://www.facebook.com/kuniko.ogawa.3/posts/2287777664686754
Twitter 共産党
神奈川県は生理用品無償配布の方向を示した。これは嬉しい!
でも議会対応としてはおかしい!
これに先立つ4月27日、共産党県議団は無償配布の要望書を提出。要望時は「状況を把握する」との回答だったが、実は3月から調査を実施していたという。
5月12日の自民党の質問に答えて無償提供を披露。 https://t.co/EdUf8mSVIk
— 君嶋ちか子 (@chikako165) May 13, 2021
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