神奈川新聞は 27 日の 15 面、論説・特報面に
〔神奈川県公立高校入試の〕範囲を限定することは妥当な判断だ
とする社説を掲載しました。
塾に通っている生徒とそうではない生徒との間に生まれる「環境格差」に言及し、「〔中学〕3年生の多くが塾に通っているのが現実だ」とした上で、
中学生がさまざまな事情で自宅学習のみになる生徒には、それ〔塾によるフォロー〕がない。
以前から指摘されていた環境格差が、……顕在化するようなことがあってはいけない。……公平さを担保する工夫は欠かせまい。
と指摘します。
4月の段階から「学習していないものを検査する入試はあり得ない」と話していた桐谷教育長と通じるものがあります。
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目次
高校入試の範囲を限定する場合の問題点
ただ、入試の範囲を限定することにはさまざまな問題点も考えられます。まず、特に整理しない形ではありますが、思いつくものを羅列していきます。
- 出題されない事項に対する学習意欲を削ぐ
- 出題されない事項も勉強すべきと思う子が理念と実利の板挟みに遭う
- 出題されない事項を十分に学ばないまま高校に進学するおそれがある(例年、入試後の中学校の授業数は少ない)
- 過去問題集を使いづらくなる
- 教科書によって学ぶ順序が異なるなかで、範囲限定のメリット・デメリットが不透明
- 出題傾向が変わることへの不安を生じさせる
整理された文章としては、セルモ川崎菅馬場教室の塾長、雪平聖道先生のものが読みやすいでしょう。
参考 高校入試範囲削減、に意見メールを出しましたセルモ川崎菅馬場教室のブログ広告
いくら建前上は全範囲教えるとなっていても、入試に出ないとなれば、ほとんど授業しなかったり、プリント渡して自習しとけーで済ませたりする学校も出てくると思うのですよ。
— セルモ川崎菅馬場教室 (@selmo_sugebanba) June 19, 2020
参考
京都地方労働組合総評議会は「最低生計費」を算出する際、中学生(公立)の「学習塾費」を年間 294,000 円(月間 24,500 円)で計算しています。
子どもを公立中学校に通わせる場合、子どもを塾に通わせざるをえないケースが多いことを物語ります。
最低生計費 公立中学生の塾費用は年間約 30 万円で試算