「首相官邸ホームページ」上、「内閣制度の概要」の説明に使われている「三権分立」の図が、一般的な受験参考書で使われる図などと異なっています。
ふつう受験生は、主権者である国民から内閣に向かって「世論」の矢印が伸びる図で三権分立を学びます。
ところが、「首相官邸ホームページ」では矢印の向きが逆になり、内閣から国民に向かって「行政」の矢印が伸びています。
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目次
首相官邸ホームページ 5月 10 日未明
首相官邸ホームページ,「内閣制度の概要」,https://www.kantei.go.jp/jp/seido/seido_2.html,2020 年5月 10 日閲覧.
中学受験用教材
CKT,『社会 6SP』46 ページ.
高校受験用教材
育伸社,『POCKET i ワーク カラー版 高校受験社会』123 ページ.
公立中学校の定期テスト
横浜市立篠原中学校,「第3学年社会科第3回定期テスト」,2019 年 11 月 19 日.
参考
炎上している官邸公式サイトの図について。内閣に対する直接の民主的統制手段が存在しないこと自体は正しいので、独裁の象徴みたいに言うのは疑問。議院内閣制を採る本邦の統治機構を三角形モデルで説明すること自体が適切でないようには思う。国民→国会→内閣のラインは直列で示す方がよい。
— ystk (@lawkus) May 9, 2020
「三権分立」問題、普通教育においては不正確でもわかりやすさが重要なのだし高等教育で修正される人はされるからよいのだ、的な意味では掛け算の順序の話に近いのか。いや掛け算の順序は中学高校の数学で修正されるだろうから違うか。日本は三権分立と思い込んで育つと、普通は修正の機会がないな。
— ystk (@lawkus) May 10, 2020
日本を三権分立の枠組みで説明することが誤りで、ウェストミンスター型議院内閣制モデルを前提とすれば立法・行政に選挙という制度的な監視が約束されていることになる。無理やり三権分立に合わせて説明しようとするから、ひとつだけ世論という制度的に保障されてないものが出てきて変な感じになる。 https://t.co/2PO72NwUxj
— ハマの元生徒会長 (@Frantodaisei) May 9, 2020
一方で、今の内閣の政策決定の過程を見ていると相当程度世論に配慮しているように見えるし、実質的な制約としての世論は内閣に対して機能している可能性が高い
— ハマの元生徒会長 (@Frantodaisei) May 9, 2020
内閣が行政によって国民に働きかけていること自体は間違いないが、そうであるとすれば国会は立法によって、裁判所は司法によって国民に作用している訳で、図表としての一貫性がないのが気持ち悪い。
— 野田隼人 (@nodahayato) May 10, 2020
これはたしかにそうですね。内閣と国民の間はいっそ空白にすれば整合性はあった。 https://t.co/YlGGyd6dgp
— ystk (@lawkus) May 10, 2020