朝日小学生新聞は、「子どもの成績をよいと認識する親の割合」が9割以上に上るというアンケート調査結果を公表しました。
目次
調査方法
アンケートは以下の方法で実施されました。
「朝日小学生新聞」(朝小)を発行する朝日学生新聞社(東京都中央区)では、朝小読者を対象に家庭で遊ぶゲームについてのアンケート調査を行い、小学1年生~6年生の男女723人から有効回答を得ました。あわせて、その保護者にも子どものゲームに関する調査を行いました。
子どもの成績をよいと認識する親の割合
このアンケートによると、「子どもの成績をよいと認識する親の割合」は、
- 全体: 93.2%(723人)
- ゲーム禁止: 92.6%(27人)
- ゲームOK: 92.5%(575人)
となりました。
小学生の子を持つ親のほとんどが、(家庭でゲームを禁止している・いないに関わらず)子供の成績をよいと認識していることが分かります。
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本当に子どもの成績はよいのか?
しかし、このアンケート結果が小学生の学力の実態を映しているとは思えません。
もし本当に、日本の小学生の9割がよい成績であれば、「公立中学生の5割は教科書が理解できない」ような事態にはならないはずです。
おそらく、このアンケートには以下のような問題点があります。
対象が朝小読者
アンケートは「朝日小学生新聞」の読者を対象に行われました。
「朝日小学生新聞」を購読している家庭の多くは、教育熱心な家庭だと思われます。アンケートに答えるのは、その中でもさらに熱心な家庭でしょう。
このため、調査対象となった子どもの成績がもともとよかったという可能性が考えられます。
成績が悪ければ、恥ずかしく思ってアンケートに協力しないということもあるかもしれません。
成績を測るテストがかんたん
「成績がよい」という判断はどこから下されるのでしょうか。
多くの家庭では、通っている小学校のテストの成績がよければ、子どもの成績がよいと判断するでしょう。
小学校のテストはかんたんで、多くの子どもがよい点数を取れます。そこまで難しい問題は出題されませんし、新しいことを習うとすぐにテストがあり、出題範囲も狭いです。
このため、実は成績がよいわけではないのに、テストの得点だけを見て「よい」と判断している可能性も考えられます。
アンケートは「子どもの成績をよいと認識する親の割合」を集計したものであり、「認識」という点では問題ないのですが、ここから必ずしも「子どもの成績が実際によい」とは言えません。
Source
朝日学生新聞社,「朝小読者の小学生とその親に聞く、「子どもとゲーム」実態調査結果」, http://www.asagaku.com/osirase/press/img/20160720.pdf ,2016年7月20日(同27日閲覧).